[特別レポート]

世界の5Gサービス開始状況と日本の5G/IoTへの取り組み

— すでに現実となった5Gの世界 —
2018/12/01
(土)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

5G用の周波数とWRC-19

 5G実現のキーとなる周波数帯については、ITU-Rが主催し、2019年に開催されるWRC-19(2019年の世界無線通信会議注1)で、各国が提案し歩調を合わせながら審議され割り当てられる。しかし、それを待たずに各国の事情を考慮しながら国内割り当てを実施し、5Gのサービスを開始するケースもある。

 日本の場合は、すでに総務省から割り当て案が発表され、5G向けに6GHz以下の帯域で600MHz幅や、ミリ波帯域(27GHz帯)に1.6GHz幅など大規模な周波数帯が準備されている。

5G対応のスマートフォンのイメージ

写真1 Qualcomm Delivers Breakthrough 5G NR mmWave and Sub-6 GHz RF Modules for Mobile Devices

写真1 Qualcomm Delivers Breakthrough 5G NR mmWave and Sub-6 GHz RF Modules for Mobile Devices

出所 https://www.qualcomm.com/news/releases/2018/07/23/qualcomm-delivers-breakthrough-5g-nr-mmwave-and-sub-6-ghz-rf-modules-mobile

 次に、ユーザーにとって身近となる5G対応のスマートフォンの例を紹介しよう。

 現在発表されているスマートフォンの例を、図4に示す。4機種ともクアルコムのX50というチップセット(写真1)を使ったもので、2019年の前半あたりから市場に登場する。

 図4の1番下に、Intel、UNISOC、MEDIA

TEK、サムスン、HISILICONなどの各チップセットベンダが紹介されているが、2018年末から2019年前半にかけて、5G対応をしたチップセットが市場に登場すると見られている。

図4 5G対応のスマートフォンとチップセット

図4 5G対応のスマートフォンとチップセット

出所 野崎 哲、「エリクソン・フォーラム:エリクソン・ジャパンの戦略」2018、2018年11月8日

日本の5Gサービスと通信事業者の動向

 ここでは、総務省が2018年10月に行った、第5世代移動通信システムに関する公開ヒアリング注2における、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルネットワークの発表内容を簡単に紹介する。

〔1〕NTTドコモ

 NTTドコモは、図5に示すように、日本で、2019年9月20日から開催されるラグビーのワールドカップに合わせて、2019年9月から5Gのプレサービスを開始する。さらに、日本で開催される東京オリンピック(開会式:2020年7月24日)、東京2020パラリンピック(開会式:2020年8月25日)などを考慮して、2020年春から5Gの商用サービスを開始すると発表している。

図5 NTTドコモの5G商用サービス

図5 NTTドコモの5G商用サービス

出所 http://www.soumu.go.jp/main_content/000579866.pdf

 5Gネットワーク構築にあたっては、基地局装置を「世代間で共用」し効率的・経済的に運用することを基本に、さまざまな付加価値と融合した料金サービスを提供していく。

〔2〕KDDI

 KDDIの5G商用サービスは、2019年に1部エリアから開始し、2020年から4Gと連携させて本格展開する。5Gによって、日本が直面する社会課題を解決するために、第4次産業革命が生み出す超スマート社会「Society

5.0」をめざしていく(図6)。

図6 KDDIの5G商用サービスの計画

図6 KDDIの5G商用サービスの計画

出所 http://www.soumu.go.jp/main_content/000579867.pdf

 また、IoT時代に対応させて、5Gによる柔軟なネットワーク構築に関する取り組みを推進していく。このため、MEC(エッジコンピューティング)のユースケースを顧客と共創しながら、ネットワークスライシングによって、安定したサービスを提供していく。

〔3〕ソフトバンク

 ソフトバンクは、図7に示すように、5G商用サービスを2019年度から開始し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、超高速大容量サービスを提供する。2019年夏以降には、スタジアムの臨場感を5G体験ルームで、LIVEでVR360°視聴体験できる5Gイベントを展開する。

図7 ソフトバンクの5G展開スケジュール

図7 ソフトバンクの5G展開スケジュール

出所 http://www.soumu.go.jp/main_content/000579868.pdf

 さらに、2020東京オリパラ競技を離れた場所から、VR・スマホなどで視聴できる5Gの超高速大容量サービスを提供する。新しいサービス分野として、エッジコンピューティングによる5G超低遅延環境を作り、造成地や工場での遠隔操作などを実現する。

〔4〕楽天モバイルネットワーク

 総務省から1.7GHz帯の電波の割り当てを受けた楽天モバイルネットワーク(楽天の子会社)は、2019年10月から携帯電話事業に新規参入する。第4のモバイルキャリアとなる。

 現在、東名阪を中心に4Gネットワークを構築中で、2019年10月に商用サービスを開始する予定だ。構築中の4Gネットワークは5Gの仮想化アーキテクチャを先取りし、図8に示すように、NR(5GのNew Radio)の追加とネットワークのソフトウェアアップグレードによって、5Gへタイムリーな移行が可能となっている。

図8 楽天の5Gへの移行:NRの追加とネットワークのソフトウェアアップグレードで5Gへタイムリーな移行

図8 楽天の5Gへの移行:NRの追加とネットワークのソフトウェアアップグレードで5Gへタイムリーな移行

出所 http://www.soumu.go.jp/main_content/000579869.pdf

 また、4Gから5Gへの移行計画では、ネットワークスライシングに対応した5Gネットワークコアをいち早く導入する計画となっている。


▼ 注1
WRC:World RadiocommunicationConference、世界無線通信会議

▼ 注2
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban14_04000617.html

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