「自立電源設置サービス」の特徴
これまでも太陽光発電設備や一般的な蓄電池設備の導入によって、停電時においても、特定の家電製品を使用することは可能であったが、「自立電源設置サービス」では、家全体をカバーできるため、日常生活に近い状態での電気を使用可能となる。
図1の上部に、停電時に使用可能な家電製品の例を示す。
図1 「自立電源設置サービス」の特徴および電気配線と停電時の稼働範囲(イメージ)
※1 停電が発生した場合に、実際に使用可能な家電製品は、太陽光発電設備の発電状況や蓄電池設備の蓄電状況などにより影響を受ける。
※2 家電製品の一般的な消費電力は、照明(6個):0.3kW、テレビ:0.2kW、冷蔵庫:0.3kW、炊飯器:1.2kW、IHクッキングヒーター:1.5kW、洗濯機:0.5kW、エアコン(3台):1.6kW、エコキュート:1.5kW。
出所 中国電力、エネルギア・ソリューション・アンド・サービス、「自立電源設置サービス」について(2019年11月20日)をもとに一部加筆して編集部作成
また、図1の下部の配線図を見ると、一般的な蓄電池は分電盤の下流部に設置するため、停電時に電気が使用できるのは、蓄電池につながっている、あらかじめ選択した範囲(図1下図の凡例:黄色部分)の家電製品に限られる。
しかし、同サービスで提供される自立電源機器(図1下図のSmart Star L、SMART V2H)は、分電盤の上流部に設置されるため、停電時でも、下流にある分電盤を通じて家全体で電気を使用できる。図2は、停電時の電気の使用可能範囲のイメージ図である。
図2 停電時における電気の使用可能範囲(イメージ)
出所 中国電力、エネルギア・ソリューション・アンド・サービス、「自立電源設置サービス」について(2019年11月20日)
さらに、「Smart Star L」と「SMART V2H」などの自立電源機器は、停電時でも太陽光発電設備を通常どおり稼働させることができるため、発電した余剰電力を蓄電して、夜間などに使用することもできる
例えば、停電時における昼間の「Smart Star L」は、太陽光発電の最大6kVA注4と合わせて合計最大9kVA(図1参照)の電力が使用可能であるが、夜間の場合でも最大3kVAが使用可能となっている。
一方の「SMART V2H」では、昼間は太陽光発電の最大6kVAと合わせて合計最大10kVA(図1参照)の電力が使用可能であるが、夜間の場合でも最大6kVAが使用可能となっている。
卒FITの登場とともに、今後は電力レジリエンスを意識した新製品やサービスが登場してくると考えられる。中国電力グループの「自立電源設備サービス」のような、各家庭や事業所で独立的に電力を賄える仕組みは、系統側のレジリエンスを高めるための1つの解となることを期待したい。
▼ 注4
kVA:キロボルトアンペア(またはケイブイエー)。消費電力のことで、kは1,000倍を意味する。例え6kVAの場合、6k=6,000で6,000VAとなり、6kW(6,000W)の電化製品が同時に使用できることになる。