e-メタンの環境価値を移転・管理する基盤を実証に実装
株式会社INPEX(以下、INPEX)、大阪ガス株式会社(以下、大阪ガス)、三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)の3社は、二酸化炭素(CO2)と水素から製造するe-メタンの環境価値を証書化し、移転・管理するためのデジタルプラットフォームを、INPEXと大阪ガスが新潟県長岡市で進めるメタネーション実証事業に実装することで合意した(図1)。2025年9月11日に発表した。
図1 デジタルプラットフォームを活用したe-メタンのクリーンガス証書移転・管理の仕組み
e-メタンや原料の量を可視化・管理
INPEXと大阪ガスによる「世界最大級のメタネーションによるCO2排出削減・有効利用実用化技術開発事業(長岡メタネーション実証)」では、水素とINPEX長岡鉱場の越路原プラント内で回収したCO2を原料に、e-メタンを製造する。製造したe-メタンはINPEXの天然ガスパイプラインを通し、需要家へ供給する。これにより、地産地消モデルの構築を目指す。
製造したe-メタンや、原料となる水素、CO2は、それらの量(以下、属性データ)をデジタルプラットフォームで可視化する。さらに、創出した「クリーンガス証書」の移転や利用を管理する。また、MRV(Measurement:測定、Reporting:報告、Verification:検証の略)注1機能を活用し、属性データの監視や証明書発行、証書の適正利用の検証なども実施する。
デジタルプラットフォームには、「CO2NNEX」(三菱重工製)を使用する。同プラットフォームは、CO2の流通を可視化・管理するためのもので、今回、同社と大阪ガスが共同で、e-メタンの属性データ管理やクリーンガス証書の移転・管理機能を実装する。
同実証は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業に採択されている。
経済産業省が、合成燃料(SAF、e-fuel)や合成メタン(e-メタン、バイオメタン)などの環境価値を取引可能にする「クリーン燃料証書制度」の創設を検討しており、2025年度から準備を進め、2026年度には実証を開始する予定だという。こうした動向を考慮し、3社は、今回の実証で得られるシステムを活用した属性データや環境価値の適正な管理に関する知見を、国が進める証書制度の調査・実証事業に活用していく。
注1:MRV:測定(Measurement)、報告(Reporting)、検証(Verification)の略。温室効果ガス排出量の算定などにおいて、データの信頼性を確保するための一連のプロセスを指す。