循環型ビジネスモデルの構築と運用を支援
株式会社メンバーズ(以下、メンバーズ)は、循環型ビジネスモデルの構築と運用を支援する「サーキュラーDXサービス」の提供を、2025年10月30日に開始した(図1)。製品や資源を循環させて利用する経済システム「サーキュラーエコノミー(CE:循環経済)」への対応をビジネス的な観点から支援し、欧州連合(EU)が義務化を進める、製品の情報をライフサイクル全体で記録し、追跡可能にする仕組み「デジタル製品パスポート(DPP)」注1の対応も支援する。同日に発表した。
図1 メンバーズが提供する「サーキュラーDXサービス」の概要
出所 株式会社メンバーズ ニュース 2025年10月30日、「国の成長戦略に呼応し、企業の環境負荷低減とビジネス成長を支援する「サーキュラーDXサービス」を提供開始!」
 
デジタル製品パスポートに対応するための環境構築も支援
サーキュラーDXサービスでは、(1)現状評価、循環型ビジネスモデルの(2)構築、(3)運用という3つのサービスを提供する。
現状評価については、独自のフレームワークを用いた「リスク診断サービス」により、資源を利用して生産・消費した後に廃棄するリニアエコノミー型ビジネスの経営リスクを定量的に診断・分析する。具体的には、資源価格の高騰や炭素税などの規制による影響や、サプライチェーン上の課題抽出などを行う。その結果をもとに、循環型ビジネスモデル構築に向けた優先課題を整理し、目標を設定する。
循環型ビジネスモデルの構築については、カードを使用した独自のワークショップ「サーキュラリティ・デッキ」などを活用し、CEに関する社内理解の促進、事業モデルの立案、サプライチェーン全体を通した回収スキーム・再販売モデルの設計などを支援する。ビジネスモデルは、製品のサービス化も視野に検討を行う。
運用面では、POC(実証実験)などを通じて、資源のインフロー・アウトフローの可視化や、ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)注2の算定、再生可能エネルギーの導入を支援する。将来的には、DPPに対応するための環境構築をシステムプロバイダーと連携しながら支援する。また、ビジネスとして成立させるためのマーケティング支援も実施する。
同サービスの特徴について、メンバーズ 専務執行役員 兼 サーキュラーDXカンパニー 社長 西澤 直樹(にしざわ なおき)氏は、「循環型ビジネスモデルのリスクを定量的・定性的に評価し、ビジネスとしてのエビデンスをつくる。さらに、『製品販売後の状況』や『素材に近い上流』のデータ収集を支援する」と説明する。
メンバーズは、2023年8月に「脱炭素DXサービス」を開始し、サステナブルマーケティングや低環境負荷のサービスデザインなどを支援してきた。その中で、支援企業から、「現状リスクの把握が不十分」「DPP対応に必要なサプライチェーンの情報管理が困難」「事業構造転換が遅れている」などの相談が増えていた。そこで、サーキュラーDXサービスを開発し、2025年10月1日には、同サービスの専門組織として「サーキュラーDXカンパニー」を設立した。
提供当初は、法人向けに製品を提供する製造業を第一ターゲットにしながら、日用品や消費財、衣服を扱う製造業、建設業、不動産業、小売業などに提供対象を拡大する。2025年度中に3サービスのワンストップでの導入を2社、各サービス単位での導入を5社という目標を設定している。
欧州では、「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」注3などのサーキュラーエコノミーに関する政策の導入が進んでいる。日本政府も、2024年6月に発表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」注4で、サーキュラーエコノミーの実現を国家の成長戦略の柱として打ち出している。
メンバーズによると、そうした背景のもとで企業には、規制への対応、製品・サービスのライフサイクル全体を見据えた設計思想の転換、新たなビジネスモデルへの変革、サプライチェーンの再構築、循環利用促進のための生活者との長期的な関係構築などが求められている。
注1:デジタル製品パスポート(DPP:Digital Product Passport):欧州連合(EU)が「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR、注3参照)」に基づき、導入を進めている仕組み。製品の原材料調達、製造、流通、廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体の情報を電子的に記録し、サプライチェーン全体で追跡・共有可能にする。
注2:ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment):製品やサービスが、原料調達から製造、使用、廃棄・リサイクルに至るまでの全生涯(ライフサイクル)を通じて、環境にどれだけの負荷(CO2排出量や資源消費量など)を与えているかを定量的に評価する手法。
注3:持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR:Ecodesign for Sustainable Products Regulation):EUが導入を進める規則。EU市場で販売される製品に対し、耐久性、修理可能性、リサイクル容易性などの基準(エコデザイン要件)を満たすことを義務付けるもの。従来の「エコデザイン指令」の対象をエネルギー関連製品以外にも拡大し、DPP(注1参照)の導入も規定している。
注4:新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版:日本政府(岸田政権時)が掲げる経済政策「新しい資本主義」の具体的な実行計画。2024年6月に改訂版が閣議決定された。成長戦略の柱の1つとして、従来の3R(リデュース、リユース、リサイクル)に加え、新たな付加価値を生む「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への移行を明確に打ち出している。
参考サイト
株式会社メンバーズ ニュース 2025年10月30日、「国の成長戦略に呼応し、企業の環境負荷低減とビジネス成長を支援する「サーキュラーDXサービス」を提供開始!」











 
	






