WiBro技術の主な特徴
このWiBroは、表1に示すように多くの技術的な特徴を備えています。例えば、2.3GHz帯を使用し、TDD(Time Division Duplex、時分割複信)という、上りと下りの通信を同一周波数で行う非対称通信方式を採用しています。現在はこの周波数帯で、上り25Mbps(正確には24.8Mbps)、下り5Mbps(正確には5.2 Mbps)の非対称通信を実現し、最大時速120kmの高速移動にも対応できるシステムとなっています。
また、基地局とユーザー端末の間の通信における接続方式には、最新のOFDMA(Orthogonal Frequency Division MultiPlexing、直交周波数分割多重)という多元接続方式〔本Webサイトの802.16(BWA)の標準化動向(3) 参照〕が採用されています。
さらに、表1に示すように、WiBroでは、データの伝送効率を向上させるために、適応変調方式が採用されています。適応変調方式とは、ユーザー端末の電波の受信状態に応じて最適な変調方式を選択し、安定した通信を行う技術です。
例えば、ユーザー端末が無線基地局(RAS:Radio Access Station)の近くにいて電波の強度が強い(近距離)場合は、データ伝送効率の高い変調方式(64QAM:64Quadrature Amplitude Modulation、64値直交振幅変調)を選択し、中距離の場合は16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation、16値直交振幅変調)方式を選択します。さらに、無線基地局から距離が離れ電波の強度が弱い(電波の伝播状況がよくない、長距離)場合はQPSK(Quadrature Phase Shift Keying、4相位相変調)を選択して通信を行っています。
KTとSKTのWiBroシステムの構成
【1】WiBroのネットワーク構成
商用サービスを開始しているKTとSKTのWiBroネットワークは、図2に示すように、基本的に、
(1)携帯端末(PSS:Portable Subscriber Station)
(2)無線基地局(RAS:Radio Access Station)
(3)制御局(ACR:Access Control Router)
などで構成されています。
【2】WiBroネットワークが提供する機能
WiBroに無線接続が可能な携帯端末が無線基地局へ接続すると、端末の移動に伴って無線基地局からのハンドオフ(ハンドオーバー)機能によって、無線基地局が順次切り替えられ、連続した通信が可能となります。また制御局(ACR)からは、ネットワーク・システムに対してIPルーティングや移動性管理、認証およびセキュリティに関する機能が提供されます。
次回は、
『HSDPAとの競合が激化する
韓国版モバイルWiMAX「WiBro」の現状(その2)
=WiBroの商用端末、契約者数、利用料を中心に=』
を掲載します。ご期待ください。