[特別レポート]

ルートとユビテックによる地域WiMAX戦略(2):モバイルIPが活躍するWiMAX

2008/05/09
(金)
SmartGridニューズレター編集部

広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)の周波数2.5GHz帯を利用した地域WiMAXの無線局の免許申請が2008年3月3日より開始され、地域利用のWiMAXに注目が集まっています。2010年度を目標にした「ブロードバンド・ゼロ地域の解消」だけでなく、都市の地下やビル内などのデータ通信や、拠点での広域無線サービスなど多様な利用が考えられており、新しいサービスによる地域活性化の有効手段としても期待されています。
そこで、早い時期からWiMAXによる地域のデジタル・デバイドなどの問題を解決しようと活動してきたアライドテレシスグループのルート株式会社の代表取締役真野浩(まの ひろし)氏と、地域WiMAXのシステムインテグレータである株式会社ユビテックの代表取締役社長荻野司(おぎの つかさ)氏に、地域 WiMAXの課題と展望、ビジネスモデルをうかがいました。
第2回目は、
第1回 地域WiMAX制度と背景
につづき、ルートとユビテックの緩やかな協業によるWiMAXの普及戦略やモバイルIPなどWiMAXを支える技術についてお聞きしました。(文中敬称略)

≪1≫機器ベンダ・ルートと導入支援・ユビテックのビジネス・スキーム

■ルートとユビテックの両社の関連について説明してください。

真野浩氏(ルート 代表取締役)
真野浩氏
(ルート 代表取締役)

真野氏 私は、地域WiMAXの制度をどのようにするか(制度設計)について、早い時期から意見を述べてきました。そして現在、制度ができました。しかし、WiMAXに対応した機器がなければ具体的なサービスはスタートしませんし、新規事業者の参入のためにWiMAXを導入する支援を行うことも必要です。

そこで、当社ルートは、WiMAX関連製品の開発ベンダとして、ユビテックさんはWiMAXのソリューションのコンサルテーションや設計や構築などの導入を支援する企業という、上流と下流のような関係で、ゆるやかな協業を推進していくことになりました。

荻野司氏(ユビテック 代表取締役社長)
荻野司氏
(ユビテック 代表取締役社長)

荻野氏 別な見方で言うと、真野さんは、2001年に無線インターネット接続サービスを提供するモバイルインターネットサービス株式会社(MIS)を立ち上げられるなど、無線によるインターネットについての草分け的存在で、ユーザーが無線を意識せずに、インターネットを使える環境を提供しています。

これに対してユビテックは、どうしたらお客様にWiMAXをつかったソリューションを提供できるか、という立場です。有線や無線に関係なく、ユーザーがインターネットやそのうえで動くいろいろなアプリケーションを利用できるように、機器の選定や設定、ネットワーク全体の設計や構築、運営などを手助けするということです。図1

に当社の事業体制を示します。

今回総務省が策定した地域WiMAXの制度は、これまでになく画期的なものになっています。それは、通常であればいろいろな制約をつけた制度となりがちなところを、電波を地域に割り当てるというフレキシブルな形になったという点です。

こうして、制度ができたわけですが、次のフェーズとして、実際にどのように活用するかがホットな話題になっています。

図1 ユビテックのビジネス・ソリューション『フレキシブルWiMAXソリューション』(クリックで拡大)

真野氏 そうですね。電波は有限であり、公共財です。電波を有効に活用するためには、ガチガチに技術を縛って規定するのではなく、必要最小限の規制、ルールにして、その上で事後監視とすることです。今回の地域WiMAXのように、電波を地域ごとに割り当てるという制度は、限りなくインターネットの自律分散型に近い形になっています。

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