2015年5月13日、沖電気工業株式会社(以下:OKI、東京都港区、社長執行役員:川崎 秀一)は、販売中の組込用「920MHz帯無線通信モジュール」※1のラインアップを拡充し、現行のマルチホップ中継機能を持つルータタイプに加え、マルチホップ無線ネットワークを上位のデータ収集装置やクラウドに接続するために集約する無線親機機能を搭載したコーディネータタイプ(写真1)を、同日より販売開始すると発表した。
拡大するIoT市場のセンサー端末や各種計測器に対応したデータ収集装置や監視制御装置、WANゲートウェイなどの機器ベンダー向けに、今後3年間で合計50万台の販売を目指す。
写真1:920MHz帯無線通信モジュール コーディネータタイプ
「920MHz帯無線通信モジュール」の特徴は以下のとおり。
- 920MHz帯無線に対応
920MHz帯は、無線LANなどの2.4GHz帯と比較して電波の到達距離が長く、また障害物を電波が回り込んで届く特性が高いため、通信距離を必要とする場合や、障害物が多い場所での利用が可能。また、従来利用されてきた429MHz帯の特定小電力無線局よりも高いスループットを持ち、マルチホップシステムでの利用が可能。
- 顧客の開発工数を大幅に削減し、素早い商品リリース
・OKIの無線通信モジュールは、マイコンを搭載し、無線マルチホップ通信に必要な動的・静的経路選択機能や、無線ネットワークの認証機能、無線区間の暗号化機能を標準で搭載している。また、機器間のシリアル通信を透過的に接続するアプリケーションを標準搭載しており、汎用的なシリアル通信手段にて、複数のベンダーのセンサー端末や各種機器を相互接続する無線システムの構築が可能で、顧客の開発工数を大幅に削減する。
・モジュールの設定を行うためのAPIに加え、エンドユーザーに再頒布可能なモジュール用の保守コンソールソフト(Windows対応)を提供。顧客側でモジュールを設定するためのアプリケーションを開発する必要がない。
- マルチベンダーでのシステム構築が可能
OKIの920MHz帯無線ユニットだけではなく、他社のOKI無線通信モジュール搭載商品と相互接続することができるため、他社の機器と組み合わせた多様なサービスを創出することが可能。※2
※1:920MHz帯
日本では915.9~929.7MHzを使用する周波数帯であり、無線 LANなどで主に使われている 2.4GHz 帯と比較して電波到達性が高いことから、海外でも同様の周波数帯がスマートメーターなどに広く利用されている。遠くまで届くだけでなく、障害物があっても回り込んで届くため、工場や病院など障害物の多い場所や、屋外での利用に向いている。日本では、2008 年に制度化された 950MHz 帯が利用されてきたが、920MHz帯への周波数移行で、米国やアジアと同じ周波数帯を利用できることになり、国際協調による市場の活性化が期待される。920MHz 帯は 2011年12月に制度が改正され、2012年7月から全てのチャネルが利用可能となった。この制度改正では送信出力も見直され、従来の10mWから、20mW(免許不要の特定小電力無線局)や 250mW(簡易無線局)の利用が可能となっている。
※2:モジュール搭載機器の仕様によっては相互接続できない場合もある。
■リンク
OKI