2016年8月9日、株式会社インターネットイニシアティブ(以下:IIJ、東京都千代田区、代表取締役社長:勝 栄二郎)は、高圧需要家(工場、ビル等大規模施設)用スマートメーターBルート※1を活用した電力データの管理システムを開発し、デマンド※2監視などを行うエネルギーマネジメントサービス事業者や小売電気事業者向けに「IIJ高圧スマートメーターBルート活用サービス」のトライアルプログラムを2016年9月1日より提供開始することを発表した。
IIJでは2016年4月1日より、低圧需要家(家庭、店舗、事業所等の小規模施設)向けのスマートメーターBルートからデータを収集・管理するシステム「IIJスマートメーターBルート活用サービス」を提供している。今後、Bルートを活用したIoT事業をさらに拡大するため、高圧需要家用スマートメーターに対応した「IIJ高圧スマートメーターBルート活用サービス」の商用化に向けて、IIJが独自開発したサービスアダプタ「SA-W2」※3においてECHONET Lite規格のAIF認証※4を2016年7月28日付で取得している。
図 サービス提供イメージ
同トライアルプログラムは、2017年4月の正式サービス開始に先駆けて、事業者向けにトライアル環境を提供するものである。
同サービスでは、高圧スマートメーターBルートからデータを収集・活用するために必要なゲートウェイ機器、ゲートウェイ機器の集中管理システム、メーターデータの管理システム、さらにデマンド管理システムをワンストップで提供する。
◆「IIJ高圧スマートメーターBルート活用サービス トライアルプログラム」の主な特徴
- 従来方式より導入・運用コストを低減:
高圧スマートメーターBルートを利用しゲートウェイ機器1台で計測を完結させることで、従来のエネルギーマネジメントシステム等で高圧需要家の電力使用量の計測に利用される従来の方式と比べ、システムの導入や維持・管理コストを低減できます。初期投資や運用にかかるコストを抑え、高圧小口需要家へのエネルギーマネジメントサービスの導入を容易にする。
- データ収集用のインフラとしての利活用:
既存のエネルギーマネジメントサービスやシステムと連携できるREST APIを提供する。それにより、顧客は必要な機器やクラウドを新規開発することなく、高圧スマートメーターBルートで収集したデータを他システムで活用できる。
- デマンド通知およびコントロール機能など需要家向け機能を提供:
メールや警報装置で電力使用量の増加を知らせるデマンド通知機能や、設定した閾値を超えた場合に、空調や照明等をあらかじめ設定された状態に変更して電力使用量を抑制するデマンドコントロール機能等を提供する。需要家は、同サービスをデマンド管理システムとして利用できる。
今後、IIJでは、BルートをはじめIoTプラットフォームを活用したサービスの拡充に努め、顧客のビジネスを支援していく。
※1 Bルート:スマートメーターと建物内のHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)やBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)のコントローラをデータ接続する経路の呼称。高圧需要家向けには従来からBルートとして「パルス」が提供されていたが、スマートメーターが記録する様々な情報をデジタルデータとして取得できる新しいBルート(接続インターフェースはEthernet)が実装されたモデルの設置が本年度より始まっている。文中、「Bルート」や「高圧スマートメーターBルート」と呼称する場合は、この新しいBルートを指す。
※2 デマンド:高圧需要家向けの電気料金は、基本料金と電力量料金の合計となる。一般的に、基本料金の計算根拠となるのが、30分間の使用電力量の平均値がデマンド値である。1ヵ月の最大のデマンド値がその月の最大需要電力とされ、これをもとに1年間の基本料金が決定される。最大需要電力が更新されるたびに、基本料金は1年間先まで変更(増加)される。デマンド値を低く抑えることで、基本料金を低減することが可能になる。
※3 SA-W2:IIJが独自開発したサービスアダプタで、高圧スマートメーターBルートよりデジタルデータを取得し、PMS(Power Metering System)へのアップロードを行う。参考PDF
※4 AIF認証:スマートメーターを含む重点8機器と、重点8機器の対向になるコントローラ装置を対象とした機器間の相互接続性について、ECHONET(一般社団法人エコーネットコンソーシアム)が策定したアプリケーション通信のインターフェース仕様に沿って行う適合性認証。
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IIJ