京セラコミュニケーションシステムは2016年11月9日、IoT向けの通信技術「SIGFOX」を利用した低価格の通信サービスを日本でも提供すると発表した。2017年2月から提供開始予定。東京23区を中心としたエリアからサービス提供を始め、2016年度中にはエリアを川崎市、横浜市、大阪市に広げる予定。その後、サービスエリアは順次拡大していき、いずれ日本全国をカバーする予定だとしている。通信料金は、通信する機器の数と通信した回数で決まる。料金プランなどは検討中だが、1つの機器が1日140回通信しても年額100円前後に収まる予定。
図 SIGFOX通信サービスのイメージ
出所 京セラコミュニケーションシステム
SIGFOXは、フランスSIGFOX社が開発したもので、低価格で利用できて、少ない電力でも通信できる「LPWA(Low Power Wide Area)」通信技術の一種。SIGFOXの通信サービスは2012年にフランスで始まり、現在では欧米を中心に24カ国でサービスを利用できる。SIGFOX社は、2018年までに60カ国でサービスを提供することを目指している。
LPWA技術にはほかに「Wi-Fi HaLow」「LoRaWAN」「RPMA」「Cat-M1」「NB-IoT」「EC-GSM-IoT」などがある。どれもIoTのセンサーなどが利用することを想定したものだ。京セラコミュニケーションシステムによると、SIGFOXの通信機能を搭載したセンサーは電池で数年間稼働させることができるという。
先に挙げた通信方式のうち、Cat-M1、NB-IoT、EC-GSM-IoTは携帯電話の通信技術を流用したもので、通信をするには免許が必要だ。携帯電話通信の基地局を利用して長距離の通信が可能だが、免許を取る手続きに時間がかかると、IoT機器の開発期間が長引く可能性がある。
一方、今回サービスが始まるSIGFOXとWi-Fi HaLow、LoRaWAN、RPMAは免許が必要ない通信方式だ。RPMAは、無線LANも使用している2.4GHz帯で通信し、SIGFOX、Wi-Fi HaLow、LoRaWanは920MHz帯を使う。920MHz帯は2012年の法改正で利用可能になったもので、比較的通信可能な距離が長いという特徴がある。そして、920MHz帯を使う3方式の中でもSIGFOXは通信速度は100bpsと低速だが、通信可能な距離が最も長く、数十kmの距離でも通信できるという。
京セラコミュニケーションシステムはSIGFOXサービスの発表に当たって、パートナーとして40の企業・団体を挙げている。その中にはシリコン・ラボラトリーズや日本テキサス・インスツルメンツといった半導体企業が名を連ねており、両社からSIGFOX通信機能を提供するモデムチップが登場すると考えられる。
さらに、アマゾン ウェブ サービス ジャパンや日本マイクロソフト、インターネットイニシアティブといったクラウド事業者もパートナーとなっている。SIGFOXを利用したセンサー、クラウド間の通信が実現する可能性もある。
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