パイオニアは2016年11月25日、販売後の自動車に後付け可能な運転支援システム「Intelligent Pilot」を開発したと発表した。また、東京海上日動火災保険が、このシステムを組み込んだ保険商品「ドライブエージェント パーソナル」を2017年4月から提供すると発表した。パイオニアはIntelligent Pilotを保険商品などとの組み合わせで提供していくとしている。また、業務車両に向けても販売する予定だ。一般車両向けの単体販売の予定はない。
Intelligent Pilotは、自動車に取り付けるドライブレコーダー型の機器と、クラウド上のシステムが連携することで動作する。ドライブレコーダー型の機器は、LTE通信機能を内蔵しており、この機能でクラウドと連携する。
図 Intelligent Pilotを利用するには、自動車にこの機器を取り付ける
出所 パイオニア
自動車側の機器は地図データに加えて、事故が発生する可能性が高い地点の情報を内蔵している。GNSS(全地球型測位システム)で常に現在位置を把握しており、危険な地点に近づくと、音声と本体背面にある液晶ディスプレイ(2インチ)で警告する。ただし、すべてのドライバーに同じように警告を出すわけではない。
自動車側の機器は加速度センサーとジャイロを内蔵しており、急加速や急減速が多いなどドライバーの運転傾向を分析する。分析の結果、警告が必要なドライバーに警告を出すようになっている。自動車側の機器が内蔵している地図データと危険地点のデータは、クラウド側のシステムと連携して書き換えることができる。例えば、新しい道路ができたり、新たな商業施設ができて待ち行列ができるようになるなど、道路と道路に関連する事象に変化が起きたら、データを書き換えるようになっている。
また、クラウド側のシステムから気象情報を受信して、気象の変化によっても警告の出し方を変える。例えば、雨が降ってきたところでカーブに近づいたら警告を出すという具合に、状況に応じて警告を出すわけだ。
図 Intelligent Pilotのシステム連携イメージ
出所 パイオニア
自動車側の機器は前面に広角カメラを搭載しており、このカメラで捉えた画像を処理して、警告を出す機能もある。現時点では、車線を検知して車線に近づいたときに警告を出す機能を備えている。2017年10月には、前方の車両の画像を分析して、近づきすぎたときに警告を出す機能も加わる予定。
ドライブレコーダーとしての機能も持っている。衝撃を検知したときに、事故が発生したと判断して前方画像を記録する機能もある。東京海上日動火災保険のドライブエージェント パーソナルでは、事故発生時に前方画像を記録して、その画像をクラウドに送信する機能も提供する。事故の状況説明の負担を軽くするための工夫だ。さらに、LTE回線を利用して、事故受付担当者と音声で通話する機能も提供する。
ドライブエージェント パーソナルは、東京海上日動火災保険が提供している自動車保険の特約付帯サービス。契約者に機器を貸し出す形を採る。特約保険料は月額650円(保険期間1年、分割払いの場合)。
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