oneM2Mが目指す世界
今回のセミナープログラム(表1)は、前述したoneM2Mリリース2仕様について、12テーマにわたり多彩な報告が行われた。
表1 ARIB・TTC共催セミナー「IoT標準化最新動向 〜oneM2M技術仕様リリース2の全貌〜」のプログラム(敬称略)
IoT(Internet of Things、モノのインターネット)/M2M(Machine to Machine Communications、機器同士の通信)の国際標準化を推進している「oneM2M」は、2012年7月に設立され、現在、世界各国から会員236メンバー(8つのSDOを含む。2016年9月現在注1)が参加し、活発な活動を展開している。
このoneM2Mが目指す世界は、図1に示すように、現状の垂直統合型システムから水平方向連携システムへの展開である。
図1 oneM2Mが目指す世界
出所 山崎 徳和、TTC oneM2M専門委員会/ARIB oneM2M対応WG「oneM2Mリリース2の概要と関連動向の概観」、2016年9月9日
- 図1左に示すように、従来は、単一のアプリケーションAと複数のデバイス(アプリケーションAに対応)が、単一のネットワークによって接続され運用される「垂直統合型」、すなわち「業種別のM2Mシステムの形態」(パイプ型)となっている。
- これをoneM2Mでは、図1右に示すように、共通サービスプラットフォーム(SP)を定義して標準化し、異なる複数のアプリケーションA、B、C……などと、多様なデバイス(例:アプリケーションAやB、CとSPに対応したデバイス)が、複数のネットワークを使用して接続され、運用される「水平方向連携」のM2Mシステムを目指している。
- また、図1右中央に示すように、この共通サービスプラットフォーム(SP)を他の共通サービスプラットフォーム(SP)と連携させることによって、例えば、異なるサービスプロバイダ間のように複数のサービスプラットフォームを連携したシステムの運用が可能となる。
- さらに、デバイスについてもoneM2Mに対応した標準デバイスでなく、oneM2M標準に対応していない非標準デバイス(現在はこのような端末のほうが多い)も、取り込んでいく。デバイスに、A(アプリケーション)とS(共通サービスプラットフォーム)に対応するソフトウェアを搭載していれば、ゲートウェイ(相互接続装置)を介して通信が可能となる。
このようにして、oneM2Mは、柔軟で経済的かつ効率的なM2Mシステムを目指しているのである。
oneM2Mのこれまでの活動と成果
このような世界の実現を目指すoneM2Mは、これまで、表2に示すような活動を展開してきた。特に、表2に示す2015年2月の「リリース1仕様書セット発行」(展開可能な最低限の機能)は、2014年8月に発行された初版のリリース「V-2014-08」(バージョン-2014-08)を、業界からのコメントを踏まえて修正し、正式発行となったものである。
表2 oneM2Mの活動状況
出所 山崎 徳和、TTC oneM2M専門委員会/ARIB oneM2M対応WG「oneM2Mリリース2の概要と関連動向の概観」、2016年9月9日
現在(2016年9月)は、「リリース2仕様書セット発行」(リリース1の実用化向け拡張版。2016年8月)に続いて、次期仕様リリース(リリース3)に向けた作業が開始されたところである。