一般社団法人 日本気象協会と丸紅新電力は2017年1月25日、両者で「新電力予想システム」を開発し、2月1日から実証実験を開始すると発表した。このシステムは7日先までの電力需要を30分ごとに予測する能力を持つという。
日本気象協会は、電力需給管理のためのデータとして電力会社に気温、湿度、日射量、雨量、降雪量などのデータを提供し続けている。その経験を活かして、日本気象協会は独自の電力需要予測システムを開発し、新電力業者に供給している。
このシステムは、過去の電力需要の推移を示すデータを社会条件や気象条件などの変動要因を加味して分析したものを基にしたもので、気象予報士などの予測など、人間がもたらすデータも合わせて人工知能で解析して、日々の電力需要を高い精度で予測する。電力の取引市場のスケジュールに合わせたタイミングで、電力を調達し、電力を供給することで低コストでの運用を可能にするという。また、急速に普及した太陽光発電所や風力発電所の発電量も予測し、より高い精度で需要を予測する。
図 日本気象協会が開発した電力需要予測システムの全体像
出所 日本気象協会
今回、実験に使用するシステムは、日本気象協会が持つノウハウと技術に、16年に渡って電力小売事業を展開している丸紅新電力が培ってきた需給調整力を融合させたものになるとしている。また、2000年に部分的に始まり、2016年に本格的に自由化となった電力小売市場は自由化によって大きく変化しているという。そこで、今回の実験で使用するシステムには、直近の電力需要データを自動で解析するなど、変化が激しい電力需要にも対応するという。
図 実証実験の流れ。日本気象協会がシステムを構築し、丸紅新電力が運用する
出所 日本気象協会
実験では、日本気象協会が開発したシステムを丸紅新電力が使用し、運用結果を開発チームにフィードバックする形で進む。丸紅新電力は販売量が拡大したため、電力需要をより高い精度でかつ自動的に予測するシステムが必要になっていたところだった。