JFEエンジニアリングは2017年2月6日、同社が運転/遠隔監視している廃棄物発電施設に、IBMの「コグニティブテクノロジー」を導入するために準備に入っていると発表した。IBMが誇るスーパーコンピューター「Watson」に、発電施設の運転パターンと結果を学習させ、最適な運転パターンで制御させようという取り組みだ。
現在、JFEエンジニアリングは全国で5つの廃棄物発電施設に遠隔監視、保守サービスを提供している。それら5つの廃棄物発電施設は、横浜市鶴見区にあるJFEエンジニアリングの「横浜本社」の「リモートサービスセンター」とつながっており、遠隔地にある廃棄物発電施設を横浜本社から監視、制御できる体制を作っている。
図 JFEエンジニアリングの横浜本社にある「リモートサービスセンター」
出所 JFEエンジニアリング
横浜本社のリモートサービスセンターから遠隔監視できるようになっている施設は、「新潟新田清掃センター」(新潟市西区)、「東埼玉資源環境組合第二工場」(埼玉県草加市)、「クリーンプラザふじみ」(東京都調布市)、「西宮市東部総合処理センター」(兵庫県西宮市)、「熊本市新西部環境工場」(熊本県熊本市)の5施設。現在、JFEエンジニアリングはWatsonで作成した学習モデルに、発電施設の運転パターンなどのデータを学習させているところだとしているが、学習が済み次第、以上の5施設にWatsonを活用した運転制御システムの導入を順次提案していく。
図 Watsonによる遠隔制御のイメージ
出所 JFEエンジニアリング
JFEエンジニアリングは、今回の試みで学習モデルに運転データだけでなく、メンテナンスの技術、トラブル事例、経験豊富な作業員の知見など、数値化しにくいデータも学習させる。Watsonのコグニティブテクノロジーは、人間が話す自然言語やテキストデータ、映像などの非構造化データから学習し、新しい知見を見つけ出す能力を備えており、この能力を活用してデータ化しにくい「経験」を学習させる計画だ。学習の際にはWatsonと経験豊富な作業員が口頭で会話することもあるとしている。
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