レノバ、エコ・パワー、JR東日本エネルギーの3社は2017年3月3日、計画中の洋上風力発電所について各種調査を実施するために建設地である秋田県と由利本荘市(ゆりほんじょうし)に協力を要請したと発表した。3社はこの洋上風力発電事業を通して地域経済と地元漁業の活性化に貢献したいとしており、そのために地元の協力を得て、周辺住民と協議を重ねて事業化につなげる考えだ。
洋上風力発電所の建設予定海域は由利本荘市の日本海沿岸近く。水深10m~30mの海域を想定しているという。着床式の洋上風力発電設備を並べ、合計の最大出力を560MWとする計画だ。完成すれば日本最大規模の洋上風力発電所となる。
図 洋上風力発電所の建設予定海域
出所 レノバ
3社は、2026年度の運転開始を目指したスケジュールを明らかにしている。2016年度~2020年度に環境影響調査などの各種調査を実施し、結果を検討する。良い結果が出たら2021年度~2025年度に建設工事を実施する予定。ただし、このスケジュールはあくまで予定であり、調査結果や関係者との協議の進行などのよって変更となる可能性は残っている。
ヨーロッパでは北海に偏西風が吹くため、イギリス、オランダ、デンマーク、ドイツなど北海沿岸諸国が大規模な洋上風力発電所を積極的に建設している。北海に比べると日本を囲む太平洋と日本海では、洋上風力発電の開発がほとんど進んでいない。理由としては、日本沿岸の地形が挙げられる。着床式風力発電設備の設置に向く遠浅な部分が狭く、急峻なカーブを描いて深くなる地形になっているのだ。
今回の建設予定海域は、日本でも数少ない洋上風力発電の好適地と言える。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査によると、この海域では年間平均で秒速7~8mの風が期待できる。
図 NEDOが調査した、東北地方の風況を示した図
出所 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
大規模太陽光発電所の建設ブームも一段落した感がある。太陽光は売電価格も下がっており、事業としての可能性がなくなりつつある。今後は多様な再生可能エネルギーの開発を同時並行で進めていく必要があるだろう。陸地よりも風況が良い洋上での風力発電は、今後有力な再生可能エネルギー源となる可能性がある。積極的な開発を期待したい。
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レノバ