図 CO2排出実質ゼロを表明した自治体と人口(2020年11月25日現在)
出所 環境省発表資料
第203国会(2020年10月26日召集)において、菅首相は、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「2050年カーボンニュートラル」(CO2排出実質ゼロ)を宣言した。
この脱炭素化の宣言は、パリ協定が目指す地球の平均温度の上昇を産業革命(1750年前後)に比べて2℃以下に抑える(できれば1.5℃に抑える)という目標の実現に貢献するものと考えられる。
日本では、すでに東京都や京都市、横浜市をはじめとする自治体などの政府以外の組織(非政府アクター)が、「2050年までにCO2排出実質ゼロ」を表明しているが、2020年11月25日現在、表明した自治体は175の自治体(24都道府県、95市、2特別区、44町、10村)に達した(図)。
これら自治体の人口を合計すると約8,206万人(GDPは約376兆円)となり、日本の総人口(1億2,577万人。2020年11月現在)の65%以上に達しており、今後さらに拡大する勢いである。
今回の政府の宣言が、すでに2020年10月13日から検討を開始している「第6次エネルギー基本計画」に、どのように反映されるのか、あるいはパリ協定の中期目標として、すでに国連に提出している日本の2030年の温室効果ガス削減目標(26%削減)を、いかに引き上げることができるかなど、今後の動向が注目される。