三菱電機は2017年5月24日、無線通信で使用する電波の強度を高い精度で分析する「電波見える化技術」を開発したと発表した。IoT端末に無線でデータを送信させるシステムを構築する例が増えているが、無線通信の性能が期待したほど発揮できていないという例もある。そのような状況の発生を避けるために役立つ技術だ。
三菱電機が今回開発した技術は、電波強度を実際に計測した後で、電波の減衰特性を統計モデルで算出する方法を採る。統計モデルを利用することで、従来の同様の技術に比べて計算時間を1/100ほどの短縮できたという。
この技術で電波強度を分析するには、まず対象エリアの建物などを3次元モデル化したデータを作成する。これは、航空写真や国土地理院の空中写真などから得られる。建物の中ならば、設計図やレイアウト図から得られる。
電波強度の計測には、電波を光線と見なして計測する「レイ・トレース法」を使用する。あとは、オフィスや商業施設などで受信できる電波の強度を実際に計測する。なるべく多くの地点で計測してデータを蓄積し、統計モデルを構築する。レイ・トレース法で計測したデータと、統計モデルでシミュレートした結果を基に、電波の受信強度を3Dモデル上に色分けして表示する。
図 三菱電機が開発した技術で、電波強度を分析した例
出所 三菱電機
無線で通信するIoT機器やゲートウェイの設置箇所を決めるために、特別な機器を使って、あちこちの電波強度を計測しなければならないという例は少なくない。この方法では、当然機器の設置までに時間もコストもかかる。三菱電機は、今回開発した技術を応用すれば、その時間とコストを削減できるとしている。
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三菱電機