NECは2017年6月21日、カメラが捉えた画像を機械学習モデルで分析して不良品を検出するシステム「AI Visual Inspection」の販売を開始した。多大なコンピュータリソースが必要になる学習モデルの学習作業をクラウド側で実行し、現場に配置したエッジコンピューティング機器に学習済みのモデルを配信することで、コンピュータリソースが少ないエッジコンピューティング機器でも不良品を正確に検出できるように工夫した点が特徴。
図 「AI Visual Inspection」のシステム構成例
出所 NEC
AI Visual Inspectionではまず、検品現場に設置したカメラの画像を集め、NECが運営するクラウドの送信する。クラウド側では、良品と不良品のそれぞれの特徴量を算出し、学習モデルを構築して、追加でデータを供給して学習を積ませる。
クラウドのサーバーは、完成した学習モデルを工場などの現場に設置したエッジコンピューティング機器に配信する。出来上がった学習モデルに基づく判定なら、コンピュータリソースが少ないエッジコンピューティング機器でも十分処理できる。製造品1個当たり数秒で良品か不良品かを判定するという。
製造ラインに新たな製品が入り始めても、先述の手順でクラウド側が学習モデルを作成、追加データによる学習まで自動的に済ませてくれるので、新製品のために追加で開発する部分は小さくなる。
またNECは、蓄積した画像データからの特徴量算出、モデル構築、追加データによるモデルの学習を担うクラウド側の機能を顧客拠点のサーバーに移すことも可能としている。社内規則や法令などの問題で、データを自社内から出したくない企業も、学習機能などを担当するサーバーを自社内に置くことで、機械学習のモデルづくりと、データの流れを自社内で閉じたものにできる。
NECは今回提供するAI Visual Inspectionシステムを利用することで、人手に頼りっきりになっている検品業務の工数をおよそ半分に削減できるとしている。さらに、機械学習のモデルが判定するので、人間よりも厳密に判定できる。その結果、検品後に出荷する製品の品質を均一に保つことが可能になるともしている。
NECはAI Visual Inspectionを金属や樹脂、ゴムなどでできた製品を扱う部品加工業者に売り込む構えを見せている。
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