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NECがワシントン・ダレス国際空港で顔認証システムの実証実験、出国者チェックに応用

2017/06/29
(木)
SmartGridニューズレター編集部

NECは、アメリカ子会社がバージニア州にあるワシントン・ダレス国際空港で顔認証システムの実証実験を実施していると発表した。

NECは2017年6月28日、アメリカ子会社であるNEC Corporation of Americaがバージニア州にあるワシントン・ダレス国際空港でNECが開発した顔認証システムの実証実験を実施していると発表した。実験は6月初旬から始まっており、エミレーツ航空の搭乗ゲートでアラブ首長国連邦のドバイに向かう便の乗客のチェックに応用しているという。

NECの顔認証システムは、アメリカ国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology:NIST)が実施している顔認証技術のベンチマークテストで、2014年6月まで「静止画像からの顔照合部門」で3回連続で1位に輝き、2017年3月にはFIVE(Face In Video Evaluation:動画からの顔照合)で世界中の参加者を抑えて第1位の記録を残した実績を誇る。

図 顔認証システムの動作イメージ

図 顔認証システムの動作イメージ

出所 NEC

顔認証システムは画像の中から顔が入る矩形範囲を検出し、検出した顔の「特徴点」を検出する。瞳の中心や鼻翼、口角など、人間の顔を特徴づける部分を検出する。このとき、顔向きの変化や、顔の一部が他人の影に隠れてしまうなどの事態を想定して、多少見えない部分があっても個人を特徴できるように独自の工夫を加えている。

特徴点を検出したら、それぞれの特徴点について多次元のベクトルの形で特徴量を算出する。この時も、いくつも検出した特徴点の中から、個人識別する上で最も適した特徴点を選ぶように工夫している。こうすることで、人間の顔の経年変化の影響を受けにくくなるなど、検出精度が向上するという。特徴量の算出などの部分に深層学習を取り入れて、学習モデルの作り方にも独自の工夫を加えているという。

今回のワシントン・ダレス国際空港での実証実験では、出国者の顔を顔認証システムでチェックすることで、出国すべき人が出国していることを確認し、入国ビザの期限が切れている滞在者がまだ出国していないなどの問題に早期に対応することを目指すという。入国審査では、専門の係官が時間をかけて丁寧に入国希望者をチェックするが、出国時は手荷物検査程度で簡単に通過させてしまう。そこで、顔から自動的に人物を特定するNECの顔認証システムを利用することになったということだ。NECは今後も顔認証システムをアメリカ始め全世界に拡販していく姿勢を示している。


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