カネカは2017年8月25日、同社が開発したシリコン結晶太陽電池セルが実用サイズのものとしては世界最高の変換効率を記録したと発表した。2017年9月にも同社は実用サイズのセルで世界記録を更新していたが、その時の記録は26.33%。今回は26.63%を記録した。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究で達成した。
図 変換効率の世界記録を樹立したカネカの太陽電池セル
出所 カネカ
今回記録を更新したセルは、カネカが開発した「ヘテロ接合バックコンタクト型」の太陽電池セル。大きさは、商用製品とほぼ変わらない180cm2。ヘテロ接合バックコンタクト型セルとは、単結晶シリコンの上に薄いアモルファスシリコンの層を作り、電極をセルの裏側に作り、表面の太陽光を受ける部分の面積を広げたものだ。
一般的な単結晶/多結晶シリコンセルでは、太陽光で発電した電荷の一部が消失してしまうが、アモルファスシリコンの層を作ることで電荷の消失を最小限に抑えることができる。また、単結晶シリコンとアモルファスシリコンはそれぞれ異なる波長の光に反応して発電するので、太陽光の幅広い波長の光を利用して発電できる。その結果、一般的な結晶シリコン太陽電池よりも高い変換効率を発揮する。さらに、裏側に電極を作ってセル表面の広い面積で太陽をとらえることで、より多くの太陽光を利用できる。
カネカは引き続きNEDOとの共同研究を続け、変換効率のさらなる引き上げを目指す。そして、今回開発したセルを量産し、製品に搭載することを目指して、開発を進める予定だとしている。
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カネカ