Toyota Motor North Americaは、カリフォルニア州のロングビーチ港にバイオガスを燃料とする大型燃料電池と、水素ステーションを併設すると発表した。
トヨタ自動車の北米法人であるToyota Motor North Americaは2017年11月30日(アメリカ中部時間)、カリフォルニア州のロングビーチ港にバイオガスを燃料とする大型燃料電池と、水素ステーションを併設すると発表した。Toyota Motor North Americaはこの2つの施設が「水素」「電力」「水」の3つの資源を生み出すことから「Tri-Gen」と呼んでいる。2020年に稼働を始める予定だ。
Tri-Genの大型燃料電池は、カリフォルニア州の農畜産業で発生するバイオマスから生成するバイオガス(メタンガス)で発電する。出力は2.35MW(2350kW)で、発電量はアメリカの平均的な家庭およそ2350世帯の電力消費量に相当する。燃料電池で発電した電力の一部は、水素ステーションで提供する水素の生成にも利用し、1日におよそ1.2トンの水素を作り出す。この量は燃料電池車(FCV)およそ1500台の1日の平均走行距離に相当する。ちなみに、MW級の燃料電池に水素ステーションを併設するのは世界初の試みだという。
Tri-Genが生み出す電力と水の一部は、物流事業を担当するトヨタ自動車の子会社であるToyota Logistics Serviceが、ロングビーチ港での業務で消費する予定。残りの電力は地元の送電事業者の送電網に供給する。水素はこの地域で実施中の実証実験で運用している燃料電池トレーラーの燃料として供給するほか、日本で生産して船便でロングビーチ港に届くFCV「MIRAI」の新車に補給する。
図 実証実験で運用している燃料電池トレーラー。Tri-Genで生成した水素はこの車両にも供給する
出所 Toyota Motor North America
水素生成能力を持つ大型燃料電池には、FuelCell Energyの「SureSource Hydrogen」を採用する。燃料電池セルに溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)を使用するものだ。住宅や自動車で使用する固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell)は80℃程度の比較的低い温度で動作するが、MCFCは600~700℃の高温で動作し、大きな電力を発電する。
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