アメリカShell Oil社は2017年9月13日(アメリカ時間)、カリフォルニア州北部に水素ステーションを新設すると発表した。水素ステーション完成後の運営を支援する目的で、トヨタ自動車と本田技研工業が資金を拠出する。Shell Oil社はオランダRoyal Dutch Shellのアメリカ法人。
図 Royal Dutch Shellがドイツで運営している水素ステーション
出所 Royal Dutch Shell
今回の水素ステーション新設事業については、カリフォルニア州のカリフォルニアエネルギー委員会(California Energy Commission)が、補助金交付先提案書(Notice of Proposed Award)を公表、提案しており、正式承認を待っていた(参考記事)。8月9日に正式承認となり、Shell Oil社は1636万2500ドル(17億9877万5000円:1ドル=110円で換算)の補助金を受けることが決まり、水素ステーション新設に向けて動き出した。
車両乗り入れの利便を考慮して、水素ステーションは既存のシェルブランドのガソリンスタンド内に増設する。設置箇所はサンフランシスコ市内3カ所、バークレー、シトラスハイツ、サクラメント、ウォルナットクリークの各市内に1か所ずつの合計7カ所。
カリフォルニアエネルギー委員会は、大気環境、気候変動、エネルギーなどの分野について州が掲げている目標の達成を支援するために、年間で最大1億ドル(110億円)の補助金交付プログラムを実施している。今回の補助金交付もその一環だ。
世界の大手自動車メーカー各社は、ガソリン車から電気自動車(EV)への移行を急速に進めている。しかし、EVは充電に時間がかかる上、満充電状態から走行できる距離がやや短いという欠点を抱えている。
水素を燃料とする燃料電池車(FCV)は、ガソリン車とほぼ同じ時間で燃料を補給でき、長い距離を走れるという点でEVよりも優れている。しかし、その普及はなかなか進んでいない。その大きな要因の1つとして、水素ステーションの数がまだまだ少ないという事情がある。今回のようにエネルギー企業、自動車メーカー、そして自治体が協力する例をもっと作れれば、FCVの普及にも期待が持てるだろう。