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トヨタ自動車、植物由来のエタノールを燃料とする世界初のハイブリッド車を公開

2018/03/20
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

トヨタ自動車は、同社のブラジル法人がエタノールなどのアルコールを燃料として使用できるハイブリッドFFVの試作車を公開したと発表した。

トヨタ自動車は2018年3月20日、同社のブラジル法人がエタノールなどのアルコールを燃料として使用できるハイブリッドFFV(Flexible-Fuel Vehicle:フレックス燃料車)の試作車を公開したと発表した。この試作車は従来どおりガソリンも燃料として使えるが、植物由来のエタノールを利用することで、実質的なCO2排出量を抑制できる。FFVの技術にハイブリッド車の技術を組み合わせた車両は、これが世界初だという。

図 トヨタ自動車のブラジル法人が公開したハイブリッドFFVの試作車

図 トヨタ自動車のブラジル法人が公開したハイブリッドFFVの試作車

出所 トヨタ自動車

トヨタ自動車は車両からのCO2排出量削減を目指して、ハイブリッドFFVの開発を日本とブラジルで進めている。植物由来のエタノールは、原料の植物が成長する過程で、CO2を吸収しているため、実質的なCO2排出量を抑えられる。ハイブリッドFFVは、蓄電池と回生エネルギーを利用したハイブリッド機構に、FFVの技術を組み合わせることで、CO2排出量を大きく削減できるという。燃料としてサトウキビ由来のエタノールを使う仮定でトヨタ自動車が試算したところ、ハイブリッドFFVは、従来のFFVに比べてCO2排出量を大きく削減できるという結果が出たとしている。

トヨタ自動車は2050年までに、同社が出荷する車両のCO2排出量平均値を2010年比で90%削減するという目標を掲げている。さらに、2030年には同社の世界販売台数のうち550万台以上を電動車とするという目標も立てている。今回公開したハイブリッドFFVは、この2つの目標の達成に向けた取り組みだという。

独立行政法人 農畜産業振興機構が2012年10月に公開した「ブラジルのバイオエタノールをめぐる動向」によると、ブラジルは1930年代からサトウキビを原料とするエタノールの生産を始めており、2010年には植物由来のエタノールの生産量では世界第2位の地位を確立している。加えて、植物由来のエタノールをから生産するバイオディーゼル燃料の生産規模も世界有数のものだという。トヨタ自動車は今後、ハイブリッドFFVのテスト走行をブラジルで実施してデータを収集する。そして、そのデータを検証しながら耐久性や駆動機構の性能などの改良を進め、ブラジルでハイブリッドFFVを実用化することを目指す。


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トヨタ自動車

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