東芝エネルギーシステムズ、IoTとAIの活用で地熱発電所の設備利用率向上を狙う研究を開始

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2018年8月7日 0:00

東芝エネルギーシステムズは、IoTとAIを活用して、地熱発電所の設備利用率を引き上げる研究を開始すると発表した。

東芝エネルギーシステムズは2018年8月7日、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とAI(人工知能)を活用して、地熱発電所の設備利用率を引き上げる研究を開始すると発表した。同社は1966年(当時は東芝)に日本初の商業用地熱発電所である「松川地熱発電所」(岩手県八幡平市)に地熱蒸気タービンや発電機を納入しており、現在では世界各国に発電出力合計で3687MW(368万7000kW)、57基の設備を導入しており、地熱発電設備では世界トップとなる23%のシェアを占めている。

図 松川地熱発電所

図 松川地熱発電所

出所 経済産業省 資源エネルギー庁

今回の研究は、実際の地熱発電所で蓄積してきた過去の運転データとリアルタイムの運転データをAI(人工知能)で分析し、運転停止を招くトラブルを事前に予知するシステムを構築し、検証する。リアルタイムの運転データ収集には地熱発電所各所に設置するIoTセンサーを活用すると考えられる。

加えて、地熱発電所を予期せぬ停止に追い込む要因の1つである「タービンスケール」の抑制にも取り組む。タービンスケールとは蒸気タービンに固形成分(スケール)が付着して、性能が低下するなどの事象を指す言葉。スケールとは、地熱蒸気が含有するシリカなどの固形成分を指す。従来は定期的なスケール除去、付着防止対策などで対応していた。

今回の研究では、運転中のタービンにスケールが付着することを防ぐために、薬剤を添加したスプレーを噴射する。薬剤添付量はIoTセンサーで取得したデータをAIで分析して調節する。スケールの蓄積を抑えて、蒸気タービンが停止せずに長時間稼働することを目指す。

 今回の研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「平成30年度地熱発電技術研究開発」の助成対象として採択を受けている。


■リンク
東芝エネルギーシステムズ

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