災害時に電力データを分析・加工して自治体に提供
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、災害リスク情報を集約するための基盤「D-Resilio連携基盤」を提供している。D-Resilio連携基盤では、公共や気象、SNS、道路通行実績、避難所、人口分布統計、河川水位などの情報を提供している。今回、同基盤で、災害時に自治体などが取得した電力データを分析・加工して提供する「電力データ提供サービス」を開始する。自治体や警察・消防などの救助活動、被災者の孤立を防止するための見守り事業、罹災証明書の発行事務手続きなどを支援するという。2025年5月29日に発表した。
図1 「D-Resilio連携基盤」を通じた電力データサービス提供イメージ
株式会社NTTデータ ニュース 2025年5月29日、「災害対応に活用できる自治体向け電力データ提供サービスを提供開始」
救助活動や罹災証明書発行、被害エリアの推定などを支援
電力データ提供サービスは、家庭に設置されたスマートメーターから取得した電力使用量データを、在宅状況の推定や居住実態の確認など、災害対応業務に有効な形に加工し、自治体に提供するもの。情報は、D-Resilio連携基盤のWebビューアーである「D-Resilio Viewer」を使ってWebブラウザから閲覧できる。API連携により、他の防災システムとの連携が可能である。
NTTデータは、利用例として、時間帯別の電力の使用状況から、被災時における家屋の在・不在を推定して救助現場の判断材料を提供する、使用状況の推移を確認して居住実態の証明が必要な罹災証明書発行の手続きを効率化するといった例を挙げる。さらに、150m~500m四方のメッシュ単位で電力データの取得状況を分析することで、被害が大きいエリアを推定できるという。
図2 電力データを用いた家屋の在・不在推定画面イメージ
株式会社NTTデータ ニュース 2025年5月29日、「災害対応に活用できる自治体向け電力データ提供サービスを提供開始」
電力データ提供サービスを導入した石川県は、総合防災情報システム「EYE-BOUSAI+」(株式会社NTTデータ関西製)と電力データの連携を予定している。電力データから在宅状況を推定することで、県災害対策本部における被災状況や孤立状況の把握を支援できるようになるという。
NTTデータは、2028年度までに150の自治体での利用を目標にしている。
2020年に、電気事業法が改正され、行政機関と自治体で、スマートメーターから取得した電力データの災害時利用が認められたという。NTTデータは、これを受けて電力データ提供サービスを開始した。
参考サイト
株式会社NTTデータ ニュース 2025年5月29日、「災害対応に活用できる自治体向け電力データ提供サービスを提供開始」
株式会社NTTデータ ニュース 2023年6月1日、「ハイレジリエントな社会を実現する「D-Resilio®連携基盤」の提供を開始」