大和ハウス工業、シグマパワーホールディングス、坂本土木の3社は2018年10月11日、岐阜県飛騨市で建設中だった「菅沼水力発電所」が完成し、営業運転を開始したと発表した。この小水力発電所の建設と運営は上記3社が共同出資で立ち上げた「DTS飛騨水力発電株式会社」が担当している。
図 「菅沼第一水力発電所」(左)と、「菅沼第二水力発電所」(右)
出所 大和ハウス工業
菅沼水力発電所は2017年10月にすでに完成している「菅沼第一水力発電所」と、2018年10月11日に竣工した菅沼第二水力発電所の2つで構成する。川の上流で発電に必要な水を引き込んで、地下を通るパイプを通して2カ所の水力発電所に送り込み、水車を回して発電する。
それぞれの発電出力は第一が970kWで、第二が999.5kw。合計で約2MW(1969.5kW)となる。所在地は神通川水系宮川の菅沼谷支流。標高約1000mの地点にあり、冬季は大量に雪が降る豪雪地帯だ。豊富な雪どけ水など、年間を通して大きな水量を期待できる。発電所の用地はDTS飛騨水力発電が、地権者から賃借する。
図 「菅沼水力発電所」の位置
出所 大和ハウス工業
菅沼水力発電所が発電した電力は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して全量を大和ハウス工業が買い取る。買い取った電力は法人企業に販売するとしている。大和ハウス工業は菅沼水力発電所の年間発電量をおよそ12.06GWh(1206万kWh)と見込んでいる。一般世帯の年間電力消費量にすると約2700世帯分に当たるという。設備利用率を計算すると、約69.9%というかなり高い値になる。
この発電所は奥飛騨数河流葉(おくひだすごうながれ)県立自然公園に位置しているため、施工時は可能な限り自然環境を維持するように務めたという。発電所などの施設は可能な限り林道近傍に設置し、2つの水力発電所と変電所を結ぶ送電設備のほとんどを地下に埋設した。これで樹木の伐採や間伐を最小限にとどめることができた上、暴風等の災害にも強く、24時間稼働する発電所ができたとしている。
■リンク
大和ハウス工業