国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年12月20日、浮体式洋上風力発電の発電コスト低下に向けて、各種要素技術の実証研究を始めると発表した。2030年に発電コストを1kWh当たり20円以下まで引き下げることを目指して、最先端の要素技術を活用した浮体式洋上風力発電設備の実現可能性や事業としての可能性を検証する。
図 浮体式洋上風力発電のコスト削減に向けた技術の例
出所 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDOは2016年12月から2017年度まで、浮体式洋上風力発電設備の低コスト化を実現するための要素技術の開発に取り組んでいる(参考記事)。その結果として生まれた、浮体と風車支柱頂点をワイヤで繋いて強度と剛性を確保し、浮体と支柱を軽量化する「ガイワイヤ支持技術」や、浮体と係留ワイヤーがつながる部分に巨大なベアリングで構成した回転機構(タレット)を組み込み、浮体と発電設備が自由に回転できるようにする「タレットを用いた一点係留技術」などの先端技術を活用して、発電設備のコスト、発電コストの低減を目指すとしている。
まずは実現可能性や事業としての可能性を評価するために、実証海域を想定した基本設計や海域調査、事前協議を実施する。その後、外部の専門家が実現可能性や事業としての可能性を審査し、認められたら実際に浮体式洋上風力発電設備を製作し、実海域で1年以上運転試験を続け、性能や運用コストなどを検証する予定だという。
この実証研究は、NEDOの「風力発電等技術研究開発/洋上風力発電等技術研究開発/次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(要素技術実証)」事業の一環として実施するもので、期間は2018~2022年度。豊田通商、グローカル、寺岡、国立大学法人九州大学、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所の6団体に委託する予定だ。