国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とIHIは2017年8月25日、水中浮遊式海流発電システムの実証試験を完了させたと発表した。NEDOとIHIは7月に海流発電システムの実証実験を鹿児島県の黒潮海域で実施すると発表している(参考記事)。海流発電の実証実験でも、世界初となる100kW級の機器を使った実験だ。
図 実証実験に向けた準備作業の様子
出所 IHI
今回の実証実験は、IHIが開発した海流発電システムの実証機「かいりゅう」を、鹿児島県十島村(としまむら)の離島、口之島(くちのしま)沖の黒潮が流れる海域に設置して実施した。実験の期間は8月12日から18日の7日間だ。かいりゅうは海流を受けて回転して発電するタービンを2つ搭載している。それぞれの最大出力は50kW。合計100kWとなる。
実験では、かいりゅうの発電性能や、最大の性能を発揮させるために機体の姿勢を制御するシステムの動作を検証した。実験の結果、水深およそ30m~50mで、かいりゅうが搭載する自律制御システムで機体の姿勢や深度を制御しながら浮遊させることで、最大で30kWの発電出力を確認できた。
NEDOとIHIはこの結果を受けて、かいりゅうが想定通りの性能を発揮することを確認できたとしている。さらに、海流の特性や、設置、撤去工事の手法など、今後の実用化に向けて必要なデータを実際の海域で得られたという。
NEDOは海流エネルギーを、「エネルギーが強く、変動が少ない」安定したエネルギー源として期待しており、離島などの電力系統から孤立した場所での実用化を目指している。IHIは、今回得られたデータを分析して研究開発に活かし、より有効に海流エネルギーを活用できる水中浮遊式海流発電システムを2020年以降に実用化することを目指すとしている。