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JERA、イギリスと台湾の洋上風力発電事業に参加―建設運用ノウハウを獲得し自社開発を狙う

2018/12/28
(金)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

JERAは、イギリスと台湾の洋上風力発電所の事業に参加するために、それぞれの事業権益を取得すると発表した。

JERAは2018年12月28日、イギリスと台湾の洋上風力発電所の事業に参加するために、それぞれの事業権益を取得すると発表した。具体的にはイギリス南東部、エセックス州の沖合約7kmで運転中の「Gunfleet Sands Offshore Wind Farm」と、台湾北西部、苗栗県(びょうりつけん:Miaoli County)沖合約2~6kmの海域で建設中の「Formosa 1 Offshore Wind Farm」の事業権益を買い取る。

図 「Gunfleet Sands Offshore Wind Farm」の位置

図 「Gunfleet Sands Offshore Wind Farm」の位置

出所 Ørsted

Gunfleet Sands Offshore Wind Farmは、デンマークDONG Energy(現:Ørsted)が建設し、2010年4月に運転を開始した発電所だ。当初はDong Energyが事業権益を100%保有していたが、2011年11月に丸紅が49.9%の権益を取得している。その後丸紅は権益の一部を日本政策投資銀行に売却し、今回は保有している権益をすべて放出した。その結果、Gunfleet Sands Offshore Wind Farmの出資比率はØrstedが50.1%で、日本政策投資銀行とJERAが24.95%ずつとなった。ドイツSiemens製の風力発電設備が48基稼働しており、最大発電出力は172.8MW(17万2800kW)だ。

Formosa 1 Offshore Wind Farmは、Ørstedがオーストラリアの投資銀行であるMacquarie Capitalと、台湾の風力発電所建設業者であるSwancor Renewableと共同出資で建設を進めている。計画開始当初の出資比率はØrstedが35%、Macquarie Capitalが50%、Swancor Renewableが15%。今回JERAはMacquarie CapitalとSwancor Renewableから事業権益を買い取る。その結果、出資比率はØrstedが35%、JERAが32.5%、Macquarie Capitalが25%、Swancor Renewableが7.5%となる。

図 「Formosa 1 Offshore Wind Farm」のうち、すでに稼働している区域

図 「Formosa 1 Offshore Wind Farm」のうち、すでに稼働している区域

出所 Ørsted

Formosa 1 Offshore Wind Farmは最大発電出力128MW(12万8000kW)のうち、8MW(8000kW)分が2017年4月に運転を開始している。これは、台湾初の洋上風力発電所になるという。すでに運転を開始している区域には、スペインSiemens Gamesa Renewable Energyの洋上風力発電設備「SWT-4.0-130(出力4MW:4000kW)」が2基稼働しており、建設中の120MW分には、同じくSiemens Gamesa Renewable Energyの洋上風力発電設備「SWT-6.0-154(出力6MW:6000kW)」を20基設置する予定。商業運転開始は2019年末の予定だ。

JERAは今回の洋上風力発電事業への参加に伴い、2018年度内をめどにイギリスと台湾に同社の拠点を設立し、洋上風力発電設備の建設と運用に関するノウハウを獲得する構えだ。そして、そのノウハウを活かしてJERA自身が日本国内だけでなく、国外でも洋上風力発電事業を展開するとしている。


■リンク
JERA(イギリスGunfleet Sands Offshore Wind Farm)
JERA(台湾Formosa 1 Offshore Wind Farm)

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