東京電力フュエル&パワー(FP)と中部電力は2017年3月28日、火力発電事業を統合することで合意したと発表した。2015年4月に東京電力FPと中部電力が折半出資で設立したJERAに事業を統合する。今後、2017年度上期に合弁契約書を締結し、2019年度上期には事業をJERAに統合することを目指して協議を続ける。
JERAは東京電力FPと中部電力から燃料の調達、輸送事業と、火力発電所の新設、リプレースの事業、海外事業を受け継いでいる。今やJERAは年間に液化天然ガス(Liquefied Natural Gas:LNG)を4000万トン、石炭を2000万トン調達するほど、事業規模が拡大している。東京ガスの2016年度LNG取扱量(計画)が1399万トンなので、国内最大手のガス会社に比べて2倍以上のLNGを発電のために調達していることになる。
東京電力FPと中部電力はJERAのエネルギー調達事業は「スケールメリットを活かして大きく成長した」としている。火力発電事業も統合することで、発電事業でもスケールメリットを活かした事業展開を進めると考えられる。
また、すでに統合済みの燃料調達、輸送事業に加えて、火力発電事業をJERAに統合することで、火力発電の「上流」から「下流」まで一括して事業を展開できるようになる。東京電力FPと中部電力は、すでに統合している燃料調達、輸送事業などとの相乗効果を発揮して、それぞれの事業を成長させることを狙っている。
東京電力FPが保有する火力発電所の発電能力は合計で4400万kWほど、中部電力の火力発電による発電能力は2400万kWほどとなる。合計するとおよそ6600万kW。今回の合意で、JERAに東京電力FPと中部電力の火力発電事業が合流すると、国内最大手の火力発電事業者となる。
図 JERAの事業範囲と、今回統合を予定している事業
出所 東京電力フュエル&パワー
また、JERAの事業規模が大きくなることで、国際エネルギー市場でも競合他社と互角に渡り合える力が付くことも期待しているという。世界的なエネルギー企業と競い合って、発電所用の燃料を安定的に確保するだけでなく、確保した燃料を他者に供給したり、小売りで提供する事業も展開する。
さらに、海外のエネルギー市場での経験で得た取引のノウハウを、今後発足する電力市場で活用し、収益の拡大を目指すとしている。
今後も東京電力FPと中部電力はJERAの健全な経営、財務体質と、自律的な事業運営、迅速な意思決定ができる経営体制を保つため、JERAの事業を支援する構えだ。
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