JERA、JXTGエネルギー、東京電力フュエル&パワー(東電F&P)の3社は2018年9月6日、五井火力発電所(千葉県市原市)の発電設備をすべて更新する計画に合意したと発表した。五井火力発電所は1963年1月に1号機の運転が始まり、53年後の2016年4月に全発電設備が長期計画停止に入った。その後2018年3月に老朽化を理由に全設備廃止が決まっている。その後、東京電力が全設備の更新を計画し、その計画をJERAが引き継いで環境影響評価などの手続きを進めていた。
図 五井火力発電所の全景。全設備廃止が決まり、現在は停止している
出所 東京電力フュエル&パワー
現在、五井火力発電所には1号機から6号機までの合計6基の発電設備がある。どの設備もLNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)を燃料とした汽力発電設備で、1994年7月に6号機にガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電設備を追加している。発電出力は1号機から6号機まで合計して1.886TW(188万6000kW)に達する。
更新計画では、五井火力発電所の敷地に発電出力780MW(78万kW)の発電設備を3基建設することになっている。合計の発電出力は2.34TW(234万kW)となる。発電設備はLNGを燃料としたGTCC方式の中でも最新のものを採用する。これはガスタービンの燃焼温度が1650℃級に達するMACCⅡ(More Advanced Combined Cycle II)方式のものだ。
図 設備更新工事完了後の予想図(左)と、五井火力発電所の位置
出所 東京電力フュエル&パワー
新築する発電設備の発電端熱効率は低位発熱量基準で64%。更新前の設備の発電端熱効率が42.4%(1号機~4号機)、42.2%(5号機)、45.7%(6号機)となるので、大きく改善する。発電コストを大きく下げられると期待できそうだ。
今回の合意でJERAとJXTGエネルギーは、設備更新計画を担う合弁会社を2018年度中を目処に設立する。東電F&Pは合弁会社に建設用地を提供する。設備更新後、2023年から2024年にかけて順次運転を開始していく予定だ。