≪1≫国内メーカーの参加者増加。IPTV製品化を意識か
IPTV-GSIの第3回会合は、2008年6月23日〜27日にジュネーブのITU本部にて開催された。
参加人数は61人(前回84名)。中国7人、韓国4人と、前回から参加者を大きく減らしたのに対し、日本は20人とこれまでと同じ程度の人数が参加した。主要文書にエディタとして係わっている日本人も多く、IPTV-GSIにおける国際的な日本の存在感は大きい。
日本からの参加者の内訳をみると、メーカーからの参加が増えていることが特筆されるが、これはIPTVに関する製品を作るフェーズに入ってきているためとみられる。
IPTVの技術的内容については勧告化直前ということもあり、勧告案の技術的な議論はひと通り収束し、それぞれの文書の完成度も高くなっているため、寄書の件数は、全体では57件(前回76件)と減ったが、このうち日本は28件と約半数を占めた。韓国からは9件、中国からは6件だった。
≪2≫最終的な局面を迎えたIPTVの標準化=7件が2008年9月に承認手続き開始を目指す=
勧告に関してはすでに、
(1)IPTVアーキテクチャ「Y.1910(IPTV-Arch)」
(2)IPTVのQoE(※)要求条件「G.1080(G.IPTV-QoE)」
(3)QoEのパフォーマンスモニタリング(性能測定点)「G1081(G.IPTV-PMP)」
の合計3点が、2008年5月のSG12で合意され、AAP(代替承認手続き)での承認手続きに入り、G.1080とG.1081は2008年5月30日に承認された。
今回の第3回会合では、
(1)「IPTVサービス要求条件(Y.IPTV-Req)」
(2)「IPTVセキュリティに関する機能要求項目とアーキテクチャ(X.iptvsec-1)」
(3)「IPTV用ホームネットワーク(H.IPTV-HN)」
など7件がほぼまとまり、2008年9月のIPTV-GSIから直後に行われる各WG/SG会合での合意の見通しを得た。まさに、IPTVの標準化は、最終的な局面を迎えている。
表1に勧告化間近の勧告案をまとめた。
※ QoE:Quality of Experience、体感品質
≪3≫今後の会合の予定
次回の第4回IPTV-GSIは2008年9月1日〜5日に開催されるが、その直後に、関連するWPやSGが会合を開いて担当の勧告案を審議し、合意されれば、承認手続きに入ることになる(表2)。
一方、日本国内の「IPTVフォーラム」や、エリクソン、フランス・テレコムなどが参加している「オープンIPTVフォーラム」など、複数のIPTV標準化団体が、それぞれに活動を活発化させており、どの団体がIPTV標準化のイニシアチブをとるかが注目される。このため、ITUがIPTV標準化の中心になるかどうかは、この半年の間に、IPTV-GSIから主要なIPTV関連の勧告が順調に出るかどうかがポイントとなる。