2015年4月17日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下:NEDO)は、海洋エネルギー技術研究開発プロジェクトの一環として空気タービン式波力発電システムを開発、山形県酒田港の護岸にて実証試験を開始したことを発表した。
波力発電システムの実用化につなげるとともに、既存の防波堤や護岸などに取付け可能なシステムとして建造・設置コストの低減化を目指す。
海洋エネルギー(海洋温度差、波力、潮力、海流等)発電技術は、欧米を中心として活発な技術開発が行われており、地球温暖化対策として注目されているとともに、今後の市場の拡大が期待されている。これまでも大学を中心とした研究開発が進められており、なかでも波力発電は1980年代から研究開発や実証試験が実施されてきた。
しかし、事業採算性を有した事業として自立するに至っておらず、発電効率及び設備の耐久性の、より一層の向上、監視システム及び制御システムの高度化などが必要な状況である。
NEDOは、2011年度から海洋エネルギー発電技術の研究開発プロジェクトを実施しており、開発した空気タービン式波力発電システムについて、山形県酒田港の実海域で実証試験を開始する。この発電システムは、護岸に設置した振動水柱型空気タービン方式の発電装置となる。実証試験では、最大15kW級の規模で半年程度の実証試験を予定している。これにより、実海域での本発電システムの評価を行い、事業化に向けた更なる大出力化を目指し、波力発電システムの実現につなげるとともに、既存の防波堤などに後付けが可能なシステムとして建造・設置コストの低減化を目指す。
振動水柱型空気タービン方式の波力発電システムとは、波の振動を空気の流れに変換(一次変換)した後、空気の流れによってタービンを回転することで発電(二次変換)するシステムである。具体的には「空気室」と呼ばれる空気の出入りのための穴が空いている構造物を設置し、空気室内の水面が上下することによって、その穴から波の上下に合わせた空気の流れが発生する。その流れを用いて、タービンを回転させ発電機を動かし発電を行う(図参照)。
図 空気タービン式波力発電システムの概念図
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