2016年4月1日からの電力小売全面自由化を前に、電力の越境販売など、市場の争奪戦が活発化している。
セブン-イレブン・ジャパンは、関西にある数千店の電力契約を、2015年10月以降、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県の一部店舗で東京電力(グループの新電力、テプコカスタマーサービスを通じて)に切り替える。4月から大口向けの電気料金を値上げした関西電力に対して、東京電力のほうが割安となっていたため、コスト削減につなげるための同社の決断である。
また中部電力は、2013年に、三菱商事から新電力であるダイヤモンドパワーの株式80%を取得して子会社化し、同社を通じて東京電力管内での事業に進出している。関西電力も、子会社の新電力である関電エネルギーソリューションが、2014年4月1日から首都圏にて電力供給サービスを開始している。さらに2015年7月30日、東北電力と東京ガスは、関東圏における電力小売事業を行うため、2015年10月を目指して、共同出資による新たな電力小売事業会社を設立することに合意した。
上記以外にも各社は、携帯電話会社との提携や各種ポイントサービスとの連携などによる、更なる顧客獲得に向けて事業の攻勢をかけている。
経産省は7月31日までに、大手電力会社10社からの送配電網の利用料(託送料金)の認可申請を受理した注。電力市場の40%を占める、一般家庭を含む低圧の顧客も自由化対象となることから、新たに低圧向け託送料金も設定されている。この申請は、今後設立される電力取引監視等委員会において審査が行われ、年内には料金が決定する。託送料金は、自由化開始後の電力小売ビジネスにとって、料金プランを決める重要なファクターとなるが、今後は新電力も含めた各事業者の激しい料金プランの競争が始まる。
注 http://www.meti.go.jp/press/2015/07/20150729002/20150729002.html
http://www.meti.go.jp/press/2015/07/20150731006/20150731006.html