BEMSアグリゲータ事業の展開
〔1〕BEMSアグリゲータとは
BEMS(Building Energy Management System、ベムス)とは、ビルなどの建物内で使用する電力使用量などを計測して蓄積し、ビル管理室や離れた場所にある管理室などにおいて遠隔での「見える化」を図り、空調や照明設備などの接続機器の制御やデマンドピーク(電力需要量が一番高くなる時間帯)を抑制したり制御したりするエネルギー管理システムのことを言う。
また、アグリゲータとは「集める人」という意味で、最近の電力産業では、節電量(ネガワット注1)を集める事業者をアグリゲータと呼んでいる。
ここでいうBEMSアグリゲータとは、中小ビルなどにBEMSを導入するとともに、クラウドなどによって自ら集中管理システムを設置し、補助事業者(BEMSを導入した事業者)に対してエネルギー管理支援サービス注2を行うエネルギー利用情報管理運営者として、一般社団法人環境共創イニシアチブ(以下「SII」注3という)に登録した事業者のことを指す。
BEMSアグリゲータは、SIIと事業者(BEMS導入者)との間に位置し(図1)、次のような業務を行う。
図1 BEMSアグリゲータの位置づけ
- SIIが指定する要件を満たすBEMSをアグリゲータとして登録。
- 全国の事業者に対して、BEMSを導入する。
- BEMS導入事業に対して、SIIに補助金の交付を申請する。
- 効果的なエネルギー管理支援サービスを提供する。
- 補助事業終了後、1年間の電力使用量をモニターし、SIIに報告する。
- 補助金を受けた設備について、適切な財産管理を指導する。
〔2〕日立製作所を代表幹事社とする「BEMSアグリゲータコンソーシアム」
日立製作所は、代表幹事社として複数の会社とコンソーシアムを組み(表1)、2012年にBEMSアグリゲータとなった注4。このコンソーシアムの特長は大きく3つある。
表1 日立製作所を代表幹事社とするコンソーシアムの構成(2013年6月時点)
- 日立グループ結集による総合力の発揮
BEMS事業や省エネシステムの製造、販売を行ってきた日立グループ各社を統合したコンソーシアムであり、幅広く顧客ニーズに応えるためのシステムやサービスの品揃えができている。 - 実績に基づいた堅実な省エネ提案
自社および多数の顧客に納入してきたBEMSのノウハウをもっており、顧客の省エネをきめ細かく支援する体制をもつ。実績面においても多くの事業者から信頼を得ている。 - 社会インフラ事業としての貢献
エネルギー情報サービス事業の領域において、将来的には、日立グループに限定せず、他社もコンソーシアムに入れて、アグリゲータ事業を進化・拡大させ、エネルギー情報の統合化と、それを活用した新しいエネルギー情報サービス分野の事業を開拓していく。
例えば、賢い電力ピークカットやピークシフトなどに有用なエネルギー情報基盤を構築し、社会インフラ事業として、省エネや地球温暖化防止等に貢献していく。
▼ 注1
ネガワット:「節約して余った電力」(節電された電力)を「発電したことと同等にみなす」考え方。
▼ 注2
電力使用量を把握して節電を支援するサービス。
▼ 注3
SII:Sustainable open Innovation Initiativeの略称。http://sii.or.jp/
▼ 注4
参考URL:http://www.meti.go.jp/press2012/04/20120404001/20120404001-2.pdf