ウェブレッジは2016年11月2日、IoT機器の無線通信を検証するサービス「IoT/M2M相互接続性検証サービス」の提供を始めた。同社が保有する電磁波シールドルームを使って、実用化前の製品の無線通信機能を検証できる。シールドルームには携帯電話回線につながった小型基地局が設置してあり、無線通信機能だけでなくインターネットを通したサーバーなどの機器との通信も検証できる点が特徴。
図 携帯電話回線につながった小型基地局をシールドルームに設置して、インターネットへの通信まで検証できるようになった
出所 ウェブレッジ
携帯電話に限らず、日本で無線通信をする機器を使うには、その機器は「技術基準適合証明」や「技術基準適合認定」の認証を受けたものでなければならない。これらの認証を受けるには、製品化前にシールドルームで無線通信機能を検証する必要がある。認証を受けていない機器を実際に使ってしまうと電波法違反となる。
ウェブレッジはこれまで、技適を取得していないプロトタイプを使って、インターネットへの通信やサーバーアプリケーションとの接続を検証したいという要望を受けていたが、電波法の規制があるため応えられなかったという。技適未取得のプロトタイプでは電波が外部に出ないシールドルーム内で「通信ができること」を確認するしかできなかった。一般的なシールドルームには携帯電話基地局のシミュレーターしか設置していないので、外部への通信ができないからだ。
プロトタイプを使って、サーバーアプリケーションへの接続テストなどができないということになると、端末の技適取得を待って、その後に携帯電話回線網からインターネットを通した通信のテストを実施することになる。しかもこの時点で問題が発生すると、要件定義や設計といった開発の上流工程に戻って再検証することになり、開発期間が長引いてしまう。
ウェブレッジはこのような手間を減らし、技適未取得のプロトタイプでもシールドルームでインターネット通信まで検証できるように、携帯電話回線に実際につながっている小型基地局を設置したシールドルームを用意した。これで、プロトタイプの端末を使ってインターネットへの通信の確認や、サーバーへの接続検証、サーバーアプリケーションの動作検証が可能になった。プロトタイプの端末を使ったテストが可能になることで、端末とサーバーアプリケーションの開発、テストを同時並行で進められる。その結果、開発コストを圧縮でき、開発やテストにかかる時間を短縮できる。
図 ウェブレッジのシールドルーム。アンテナのようなものは小型基地局。携帯電話回線網につながっている
出所 ウェブレッジ
このシールドルームでは携帯電話の通信だけでなく、無線LAN、Bluetooth、Bluetooth Low Energyなどの通信方式を使う機器の通信検証もできる。IoTの端末やサービスは、これからどんどん増えていくと予想できる。ウェブレッジはIoTサービスを開発する企業が今回のサービスを利用することを見込んでいる。
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