スイスSTMicroelectronicsは2016年12月13日(現地時間)、マイクロコントローラー(マイコン)の新製品「STM32F413」と「STM32F423」を発売した。パッケージが異なる5種類を用意するほか、STM32F413は内蔵するフラッシュメモリが1Mバイトのものと1.5Mバイトのものを揃えている。STM32F423のフラッシュメモリ容量は1.5Mバイト。
図 STM32F413。これに暗号化機能を付け加えたものがSTM32F423だ
出所 STMicroelectronics
過酷な環境で動作し続けるセンサー機器や産業機器に向けたもの。そのために、最高で125℃になる環境でも動作するようにした。内蔵するプロセッサコアはARMのCortex-M4。最大100MHzで動作する。さらに、320KバイトのSRAMやフラッシュメモリ、音声認識インタフェースなどを集積している。
STM32F423にはさらに、データの暗号化機能を備えている。真乱数発生器とAES-256の暗号化機能の組み合わせで、通信データやフラッシュメモリに格納するデータを暗号化する。
メモリ領域が2つに分かれている点も特徴だ。命令/データバスには256Kバイトのメモリが、システムバスには64Kバイトのメモリがつながっている。「enhanced DMA Batch Acquisition Mode(BAM+)」を利用することで、マイコン全体がスリープ状態になっていても、センサーなど外部からのデータをメモリに格納できる。
同社独自の省電力機能「Dynamic Efficiency」も長所の1つだ。フラッシュメモリに格納してあるプログラムを実行する際の消費電力を112µA/MHzまで低減できる。動作をほとんど止めるストップモードでは、消費電力は18µAまで下がる。電池で動作するセンサー機器に向く機能といえるだろう。
図 NUCLEO-F413ZH。ARMのmbedを利用して、短時間でプログラムを開発できる
出所 STMicroelectronics
STMicroelectronicsは、今回発売したマイコンを搭載した評価ボード「NUCLEO-F413ZH」も発表した。Webブラウザで操作できるARMの開発システム「mbed」を利用可能で、mbedに登録してあるサンプルプログラムやライブラリを活用できる。試作品の開発期間短縮に役立つ。発売は2017年初旬の予定。