東京エレクトロンデバイスは2017年2月9日、センサーや通信ゲートウェイにMicrosoft Azureを組み合わせた「Azure IoT PoCキット」の販売を始めた。プロトタイピング(試作)を想定したキットであり、付属のセンサーは、多様なセンサーを内蔵している。多様なセンサーを提供することで、思いついたアイデアをすぐに試作に移せる内容とした。
価格は9万9800円(税別:以下同様)。3月31日まで、発売を記念したキャンペーン「JumpStartキャンペーン」を実施しており、台数限定で「Azure IoT PoCキット」に、NTTコミュニケーションズの携帯電話通信サービス「OCNモバイルONE」のプリペイドSIMカードが付属するセットを7万9800円で販売する。付属のSIMを利用すると3カ月間の間に合計で1Gバイトまでの通信が可能だ。
多様なセンサーを内蔵した「センサータグ」と、さまざまな通信方式に対応する「ゲートウェイ」、Microsoft Azureの2万円分の利用権、それぞれの組み合わせ方を解説した「セットアップガイド」をセットにして提供する。
図 「Azure IoT PoCキット」のセット内容。センサーでデータを生成してゲートウェイ経由でクラウドに送信し、クラウドでサービスを作るために必要なものをセットにした
出所 東京エレクトロンデバイス
センサータグとして提供するのは米Texas Instruments社の「SimpleLink SensorTag(CC2650STK)」。Bluetooth Smart(Bluetooth Low Energy)の通信機能を備え、10種類のセンサーを内蔵する。センサーの内訳は、光センサー、デジタルマイク、磁気センサー、湿度センサー、圧力センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、磁力センサー、物体の温度を図るセンサー、周囲の温度を測るセンサーの10種類。コイン電池で長期間作動するという。
ゲートウェイとしては、アットマークテクノの「Armadillo-IoTゲートウェイG3開発セット」を提供する。オランダNXP SemiconductorsのSoC(System-on-a-Chip)である「i.MX 7Dual」を搭載する。ARMの「Cortex-A7」プロセサコアを2つ集積するSoCだ。OSとしてDebian GNU/Linuxをインストールしてあり、オープンソースソフトウェアを容易に流用できる。Microsoftから、「Azure Certified for IoT」認定を受けており、簡単な設定でMicrosoft Azureに接続できる。Ethernet、無線LAN、Bluetooth、3G通信など、多様な通信方式に対応している。別売りのモジュールを内蔵させることで、RS-232C、RS-485、Wi-SUN、EnOceanなどの通信機能を追加できる。
図 付属するゲートウェイは多様な通信方式に対応する
出所 アットマークテクノ
Microsoft Azureでは、IoTのセンサー機器を管理し、機器からのデータを受け取る「Azure IoT Hub」に、次々とセンサーが送り込んでくるデータをリアルタイムで集計処理する「Azure Stream Analytics」、センサーが送り込んできたデータを蓄積する「Azure Blob Storage」、集計結果をグラフなどの形で視覚化する「Power BI」などを利用できる。
多様なセンサーを用意し、「このセンサーでこんな値を収集したらどうなるだろう?」とアイデアがひらめいたときにすぐに試せる環境を提供していると言えるだろう。収集したデータをクラウドに蓄積するだけでなく、集計や、グラフなどの形での出力もできるので、センサーを使って集めたデータを分析することで、どのような結果が得られるのかを短時間で確認することができる。IoTの仕組みをビジネスに応用したいが、どこから手を付けていいか分からないという担当者にお薦めできるセットと言えるだろう。
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