アーバンエナジーは2017年3月27日、株式会社横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)と電力供給契約を交わした。パシフィコ横浜が管理している「臨港パーク」に4月2日から電力を供給する。ただし、この契約は単純な電力供給契約ではない。パシフィコ横浜が管理する施設や公園で発生したゴミを提供し、そのゴミを燃料として発電し、臨港パークに供給する電力の一部とするものだ。パシフィコ横浜の場合、ごみ発電による電力の供給量は年間で約300MWh(約30万kWh)。一般家庭の年間電力消費量にすると、およそ100世帯分になる。
ゴミを引き取って、産業廃棄物処理施設で焼却しながら発電する役目はJFE環境が担当する。ゴミの焼却には、JFE環境が保有する焼却炉を使う。アーバンエナジーはJFE環境が発電した電力を買い取り、臨港パークに供給する。
図 パシフィコ横浜で発生したゴミはJFE環境の焼却炉に持ち込み、燃焼しながら発電する。アーバンエナジーは発電した電力を買い取って、パシフィコ横浜に供給する
出所 JFEエンジニアリング
アーバンエナジーはJFEエンジニアリングの100%子会社で、電力小売り事業を営んでいる。主に神奈川県を中心に、「高圧」契約の企業や店舗に電力を供給している。また、全国7カ所でメガソーラーを、7カ所でゴミ発電施設を、1カ所でバイオマス発電施設を運営しており、他社と比べて再生可能エネルギー由来の電力を多く供給できる態勢が整っている。
そしてパシフィコ横浜は、環境負荷の低減を目指して施設内で集めたゴミを計量し、その結果を記録し続けている。廃棄物の存在を完全に把握し、100%リサイクルを目指してリサイクル率を高めるためだ。今回アーバンエナジーは、パシフィコ横浜の廃棄物に対する取り組みに着目して、廃棄物を燃焼させて発電した電力を供給する案を提示し、採用となった。
アーバンエナジーは今後、パシフィコ横浜に限らず、電力供給先に、廃棄物を提供したら、その量に応じて電力供給料金を割り引く「創電割(そうでんわり)」を、新たなサービスとして提供を始めるとしている。