本田技研工業(ホンダ)の米国法人であるAmerican Honda Motorは2017年4月12日(米国時間)、ニューヨークオートショーで電気自動車(EV)「CLARITY ELECTRIC」とプラグインハイブリッド車(PHEV)「CLARITY PLUG-IN HYBRID」を公開した。ニューヨークオートショーは4月14日から23日の日程で一般公開となる予定。American Honda Motorは2017年3月にニューヨークオートショーで「CLARITY」ブランドのEVとPHEVを公開するということだけを明らかにしていたが、それ以上の情報を明かすことはなかった(関連記事)。今回の世界初公開で、走行可能距離などが明らかになった。
図 American Honda Motorが公開した「CLARITY ELECTRIC」。左前輪の上にある小さな扉を開けると、充電コネクタがある
出所 本田技研工業
CLARITY ELECTRIC、CLARITY PLUG-IN HYBRIDともに、2016年3月に日本で発売した燃料電池車(FCV)「CLARITY FUEL CELL」と共通の車台を使っており、見た目には違いが分からないほど外見がよく似ている。発表会で壇上に上がった、American Honda MotorのSenior Vice PresidentであるJeff Conrad氏は、「2016年12月に発売したCLARITY FUEL CELLの車台にはモーターと燃料電池が載っている。このモーターで駆動する車台を流用することで、外見を変えずに、製造工程への負担を最小限に減らしながら、別の車種を展開できた。製造工程への負担を最小限に抑えているので、車両価格も抑えることができた」と語った。さらに、「3車種揃ったCLARITYシリーズで、今後4年のうちにモーター駆動の車種(FCV、EV、HV、PHEV)の売上を5倍に伸ばす」と野心的な目標を明かした。
CLARITY ELECTRICは毎日の買い物や通勤などで自動車を使う層に向けて、室内空間が広く、乗り心地が快適で、手頃な価格で入手できる乗用車として設計したという。動力となるモーターは161馬力(120kW)の出力を発揮する。電力をなるべく節約する「ECON」、運転手の操作に機敏に反応する「スポーツ」、2つの間を取った「ノーマル」の3種類の走行モードを切り替えることができる。
搭載する蓄電池の蓄電容量は25.5kWh。交流240Vなら3時間程度で満充電できるという。そして、直流の急速充電器を使えば30分で80%まで充電できる。満充電で走行可能な距離は80マイル(約128km)以上。少し物足りない距離だが、発表会では“affordable”(手頃な)という言葉を繰り返し強調していたので、今後明らかになる予定の価格に期待したいところだ。CLARITY ELECTRICは2017年中に、カリフォルニア州とオレゴン州でリース販売で提供を始める。
CLARITY PLUG-IN HYBRIDは、動力として181馬力(約135kW)の出力を発揮するモーターと、排気量1.5リットルでアトキンソンサイクルの4気筒エンジンを搭載している。蓄電量17kWhの蓄電池を搭載しており、電池だけで40マイル(約64km)以上の走行が可能だ。これは中型のプラグインハイブリッド車としては、最長の距離になるという。
図 CLARITY PLUG-IN HYBRID
出所 本田技研工業
蓄電池は交流240Vなら2.5時間で満充電できる。電池とガソリンの両方を使い切ると、連続で330マイル(約531km)の距離を走れる。CLARITY ELECTRICと同様に3種類の走行モードと、3種類どれとも組み合わせることができる「EVモード」を設定している。EVモードでは、蓄電池への充電を優先しながら走行する。CLARITY PLUG-IN HYBRIDは、2017年中に全米のディーラーで販売を始める予定。
動画 CLARITY ELECTRICとCLARITY PLUG-IN HYBRIDを紹介する動画
出所 American Honda Motor
本田技研工業は、2030年には販売する自動車の2/3をモーターを搭載したものにするという目標を打ち立てている。発表会で登壇したJeff Conrad氏は、2018年にハイブリッド車(HV)の新製品を発売する予定を明かし、「今後2年間、American Honda Motorがアメリカで発売する新製品の半分以上がモーターを搭載したもの、つまりHV、PHEV、EV、FCVになる」と宣言した。今回発表になった2車種の価格や日本での発売予定についてはまだ明らかにしていないが、“affordable”(手頃な)価格になることを願いたい。