東日本電信電話(NTT東日本)、サラダボウル、アグリビジョンの3社は5月23日、トマト栽培に人工知能(Artificial Intelligence:AI)を応用する実証実験を実施すると発表した。期間は2017年5月~2018年3月。実験の場は、山梨県北杜市にあるアグリビジョンの農場。サラダボウルは実証実験の企画と運営アドバイス、効果検証を担当し、NTT東日本は実験に必要な設備、技術、通信設備などを提供する。
この実証実験で検証する項目は2点。1点目は、カメラで撮影した画像のAIによる解析。AIが画像を解析して、収穫可能なトマトを特定する。これまでは人間の経験や勘で、出荷可能かどうかを判定していたが、AIを利用した判定によって、正確な出荷量を予測する。正確に予測できれば、取引先に正確な出荷個数を通知でき、農作業者を農園内で最適な位置に配置することが可能になる。
トマトの画像は、台車に設置したカメラで撮影して回る。その画像は無線LANとインターネットを経由して、クラウドに送信する。クラウドでは、AIを利用して画像解析し、出荷可能なトマトを判定する。
図 カメラで撮影した画像を無線LANとインターネットを経由してクラウドに送信する
出所 東日本電信電話
2点目は、農場内における農作業者の動きの把握。農場の各所にビーコンを発信する機器を設置し、その機器からのビーコンを農作業者が携帯する「ビーコンゲートウェイ」が受信する。ビーコンゲートウェイは受信したビーコンの電波強度などの情報を無線LAN経由でクラウドに送信する。クラウド側では、データをAIで解析し、農作業者の農場内の位置と動きを算出する。そのデータは農場のレイアウト図に重ねて表示するので、農作業者の動きがすぐに分かる。農作業車の位置と動きがわかれば、作業の内容と位置を正確に伝達することで、全体の作業効率向上が見込める。
図 ビーコンの電波強度などをAIで解析して、農作業者の位置と動きを推定する
出所 東日本電信電話
実験を実施する3社は、この実験を通して農業関係者にとって、既製品のように導入してすぐに使えるサービスの商品化を目指すとしている。さらに、サービスに効果があることを実証して、農業を1次産業から「6次産業」に転換させる動きに貢献するともしている。