2016年2月16日、東日本電信電話株式会社(以下:NTT東日本、東京都新宿区、代表取締役社長:山村 雅之)、慶應義塾大学 SFC研究所(以下:慶應義塾大学、神奈川県藤沢市、所長:飯盛 義徳)、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下: 国立情報学研究所、東京都千代田区、所長:喜連 川優)、日本電信電話株式会社(以下:NTT、東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫)およびパナソニック システムネットワークス株式会社(以下:パナソニックシステムネットワーク、東京都中央区、代表取締役社長:片倉 達夫)は、欧州委員会(EC)が実施するFramework Programme 7(FP7)※1と連携して国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が研究委託する3カ年の「新世代ネットワークの実現に向けた欧州との連携による共同研究開発」プロジェクト(以下:ClouTプロジェクト)※2を2013年に受託し、最終年度となる本年において日欧4都市の大気、気象などのセンサデータを一元的に収集、管理、加工、可視化する日欧連携による共同実験を実施することを発表した。
◆ClouTプロジェクトの背景:
ClouTプロジェクトでは、IoTアプリケーションをクラウド環境上で効率的に実現する基本アーキテクチャの策定と共通基盤化を進めることで開発者の開発負担の軽減を目指す。また、共通基盤を利用して、都市の社会的課題を解決しスマートシティの実現に貢献しうるIoTアプリケーションを開発、フィールド実証によりその有効性を検証する。
◆これまでの取組み:
ClouTプロジェクトでは、一般的なクラウドの3つの概念である(IaaS、PaaS、SaaS)に倣い、各レイヤにCityを意味する「C」を付加し、デバイスデータなどの都市データを収集する基盤である「CIaaS」、収集したデータを組み合わせ、高信頼なサービスとして提供する「CPaaS」、都市における市民生活・公共サービス向上のためのアプリケーションを構築する「CSaaS」と名付け、各レイヤの機能要素を日欧の各研究団体の分担・連携によって共通基盤としての開発に取り組んでいる。また、三鷹市・藤沢市・サンタンデール市(スペイン)・ジェノバ市(イタリア)の協力のもと、各都市の課題解決に向けてIoTを利活用するユースケースを設定の上で、ClouTアーキテクチャの共通基盤としての実装とスマートシティアプリケーションの開発を行い、各都市をフィールドとして実証実験を実施してきている。※3同実証実験によって、開発した共通基盤の機能要素やアプリケーションが実フィールドでの運用に耐えるものであることが確認でき、またこれらアプリケーションの日欧の異なる都市における活用への期待が高まってきている。
◆日欧共同実証実験の概要:
これまでの日欧での実証実験の成果を踏まえ、日欧4都市のシステムを相互に接続し、ClouTアーキテクチャの総合的な技術検証を行う実証実験を2016年2月15日から開始する。実証実験では、4都市の大気・気象情報などの都市データを各都市のシステムからクラウド環境上に集約し、日本の研究団体が開発したアプリケーションのデータ処理結果を4都市のパブリックサイネージにリアルタイム配信する。具体的には、各都市のCO2、NO2、O3状況から可視化した「各都市の空気のキレイ指数」などの都市の動的な情報をディジタルサイネージに配信する。実証では技術検証に加えて、情報を閲覧した市民の都市の環境に関する理解の深化、都市の環境改善に結びつく行動意欲の高まりなど、新たな気付きや行動変容などの効果についても検証を予定する。
※1 第7次研究・技術開発のための枠組み計画(FP7)は、ヨーロッパにおける研究活動を助成する欧州委員会(EC)の主要な政策。(参考:FP7)
※2 「ClouT」はクラウド(Cloud)とIoT(Internet of Things)の技術的融合の意味を込めた造語。
※3 2014年の実証実験詳細