NTTコミュニケーションズは2016年7月3日、携帯電話通信網を利用したIoT端末向け通信サービス「Arcstar Universal Oneモバイル グローバルM2M」のサービスラインナップとして新たに「100円SIM」の提供を始めた。特徴は2点。1つ目は低価格で利用できること。IoT端末1台の1カ月の通信量が1Mバイト以内であれば、月額100円(税別)で利用できる。IoT機器の配置が完了しサービス運用を開始しても、IoT端末が実際に通信するまでは料金が発生することはないので、無駄な通信コストを削減できる。
もう1つは、インターネットを経由せずに大手クラウド事業者のデータセンターに接続できること。携帯電話通信網から、NTTコミュニケーションズが運用するVPN(Virtual Private Network)サービス「Arcstar Universal One」の閉域網に接続するので、IoT端末からの通信がインターネットを経由することなくデータセンターまで届く。インターネットを経由しないので、通信盗聴や攻撃に遭う可能性がない。機密データや個人情報、重要な機器を制御するIoT端末のデータを送信するのに向くサービスだ。
図 「Arcstar Universal Oneモバイル グローバルM2M」はIoT端末からインターネットを経由することなく大手クラウドのデータセンターまでの通信を可能にする
出所 NTTコミュニケーションズ
Arcstar Universal Oneの閉域網は、Microsoft Azure、Amazon Web Services、Oracle Cloud、Salesforce.comなどの大手パブリッククラウドのデータセンターにつながっているほか、NTTコミュニケーションズが運用するパブリッククラウドである「Enterprise Cloud」や、IoT向けパブリッククラウド「Things Cloud」ともつながっている。以上のパブリッククラウドサービスを利用してIoTサービスを展開する企業なら、今回のサービスを利用することで、安全な通信経路を安価で利用できる。
携帯電話通信網については、同一国、同一地域内で複数の事業者と接続可能としている。こうすることで、主に利用している事業者の回線で障害が発生しても、契約しているほかの事業者の回線を使って通信を継続させることが可能だ。
大量のIoT端末でこのサービスを利用したときの管理を楽にするサービスも提供する。占用のポータルサイトを用意しており、このサイトで契約している回線をすべて一括管理できる。個々の回線の休止や、利用再開などの状態切替の機能を提供するほか、それぞれの回線のデータ通信量を確認する画面も用意する。通信量が事前に設定したしきい値を超えたところで、自動的に警告を出すといったことも可能だ。ポータルサイトの機能は一部を除いてAPI(Application Programming Interface)でも提供するので、企業内のアプリケーションに通信回線の管理機能を組み込むことも可能だ。
1回線当たりの利用料金は、初期費用が500円(税別:以下同様)で、月額料金が100円。この料金で月に1Mバイトまで通信できる。超過した場合は、1Mバイト当たり100円の超過料金が発生する。そして、データ通信を始めるまでは11カ月まで料金は発生しない。パブリッククラウドとの接続については、通信網の構成によって別途料金がかかることもある。そして日本国内だけでなくアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、香港、台湾、南アフリカ、チュニジアなど世界25の国と地域で利用可能だ。
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