〔3〕CATVの挑戦 ~CATVが進むべき道-検討のヒント~
ではCATV業界にとってNGNはどのような意味を持つのか。
中川氏は図11を示して、「CATVとNTTのNGNは、コンシューマ向けトリプル・プレイ(電話、インターネット、映像サービス)市場にフォーカスしており、完全に競合している、というのが一般的な理解だ」と指摘した。
その上で、図12を示し、NGN時代にケーブル業界が直面する課題の本質は、
(1)価値の変化(プラットフォーム化)
(2)マーケットサイズ(携帯+パソコン+テレビ=1.2億人)
の2つ変化にどのように対応するかだと指摘した。
これまでに述べたように、通信事業者はこうした変化に対して、「携帯+パソコン+テレビ=1.2億人のユーザー」の巨大マーケットを獲得するための戦略をとっている。マーケットの中で大きなシェアを取れれば、アプリケーション事業者にとっても魅力となり、魅力のあるアプリケーションがさらに集まりやすい仕組みとなる。
また、通信料金は今後さらに減収していくとみられるため、ビジネス・モデルを新しいものに変えていく必要がある。通信事業者は、BTの例のように、アクセス回線を強みにプラットフォームを構築し、機能やサービスを提供する「価値」提供モデルへ移行しようとしている。
こうした現状の中で、中川氏はCATV事業者の必須の課題として、
(1)CATV業界独自のプラットフォームの構築と新たなビジネス・モデルの確立
(2)ひとつのコンテンツを多数のユーザーに届ける手段の確立などによるCATV業界のマーケットサイズ最大化
と指摘した。
そして、「NGNによる通信ビジネスの変革は、CATV業界に大きな脅威をもたらしている。だが、脅威ではあるが、ビジネスチャンスとして活かすこともできる。まずは、どのような脅威かを整理し、その上で、NGNとさらにその先を見据えた戦略が必要だ。今後のCATV業界の方向性を一緒に考えていきたい」と締めくくった。
おわり
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