≪2≫展示会場トピックス
次に、展示会場で、印象に残ったスマートフォンやWiMAX、LTEなどに焦点を当てたトピックスを紹介しよう。
[1]スマートフォンの話題
(1)Samsung Windows Mobile 6.1端末「Instinct」
「Instinct」はサムスン電子が開発したiPhoneのような全面タッチスクリーンのWindows Mobile端末だ。2008年6月からこの「Instinct」を独占販売するスプリント・ネクステル(Sprint Nextel)の社長兼CEOダン・ヘッセ(Dan Hesse)氏は基調講演の中でCDMA2000 1xEV-DO Rev.A端末である「Instinct」を紹介。GPS搭載で、Buletoothにも対応している。展示会場では、自分の位置を認識してGoogle Earthを起動するナビゲーションや音楽ダウンロードをデモした。
(2)RIM BlackBerry 8330
ご存知、RIM(Research In Motion)社のBlackBerry(通信機能を備えた携帯端末)の新型機。これまで、BlackBerryというと、大きな端末という印象があったが、ひとまわりスリムになって登場した。ネットワーク・インタフェースも、GSM、3G、Wi-Fiなど多くのラインナップが揃った。ビジネス携帯端末ではあるが、カラーやデザインも多彩になり、日本でも使える日が待ち遠しいと感じさせた。
[2]WiMAX市場が立ち上がり始めた!
(1)元気なアルバリオン
米国のWiMAXは、スプリント・ネクステルのサービス開始が延期(2007年11月に延期を発表)になるなど今後の展開が懸念されたが、世界中の市場をターゲットにベンチャーが元気に出展していた。もっとも目立ったのはアルバリオン(Alvarion、イスラエル)。今回のCTIAのスポンサーにもなり、世界トップシェアであることを至る所に掲示していた。
(2)サムスンのWiMAX端末がスマート
韓国ではすでに、「WiBro(ワイブロ)」という名称で、KTが2006年からWiMAXのサービスを提供しているが、その韓国のサムスン(Samsung)がスマートなWiMAX端末を出展。スライド式のQWERTYキーボード搭載で一見すると任天堂DSのようなフォルム。WiMAXとその端末の登場によって、今後大きなノートPCを電車内で開く姿は減るかもしれない。
(3)WiMAXチップ展示
WiMAXコーナーでは、ビーシーム・コミュニケーションズ(Beceem Communications、2003年設立、米国)、SEQUANS Communications(仏)、富士通、インテルがWiMAX チップやWiMAX端末を展示し、いよいよWiMAXが市場で立ち上がる兆しを感じた。
[3]LTE(Long Term Evolution、第3.9世代携帯)
(1)Alcatel-Lucent & NEC
アルカテル・ルーセント(Alcatel-Lucent)とNECの共同出展ブースに第3.9世代携帯といわれるLTE(20MHz幅で最大300Mbpsの規格)用の装置が出展されていた。いよいよ、3.9G、4Gに向けて具体的に世界が動き出した感がある。今後、WiMAXと3.9G(LTE)/4Gの競合と共存をめぐって、新しい市場が展開していくことが期待されている。WiMAXと3Gの融合の先の姿が、おぼろげながら見えてくる。
[4]その他
(1)フェムトセル:エアバーナ
派手ではないが、「フェムトセル(※)」も面白い展示があった。写真4の可愛いデザインのアクセス・ポイントは、エアバーナ(Airvana、米国)のフェムトセル基地局。オレンジや青色の縁取りで丸いフォルムだ。通信機器も、家庭に置いてインテリアに見えるようなデザインが、今後のトレンドになるのではないか。
※フェムトセル:Femtocell。FMC実現の装置としても注目されている、モバイルの超小型基地局
以上、駆け足の取材ではあったが、今回のCTIA WIRELESSでは、WiMAX、4G、Windows Mobile 6.1、フェムトセルなどの新しいトピックスが各所に出展されており、ワイヤレス市場が確実に転換期を迎えていることを感じさせた。ベライゾン・ワイヤレスのマカダム氏が語っているように、3Gから4Gへ、音声からデータへ、テキストからビデオへと新しい大きな流れができはじめ、携帯端末も、電話からモバイル・コミューティング端末へと変わっていく過渡期にある。ラスベガスにモバイル・コンピューティングの砂嵐が吹き荒れる兆しを感じさせる展示会であった。