[展示会]

WiMAX、LTE(3.9G)、4G、コグニティブ無線など、最先端の無線通信技術が一堂に =WTP2008開催=

2008/05/23
(金)
SmartGridニューズレター編集部

≪2≫LTE/WiMAX関連の測定器・シミュレータ等

〔1〕1台でRFテストからシグナリング・テストまでこなせるLTE端末の開発用テスタ「Agilent E6620A」+「Anite SAT LTE-Protocol development toolset」:アジレント・テクノロジー

アジレント・テクノロジー株式会社では、LTEとWiMAX向けの研究・開発に使う、開発段階に応じた、さまざまな種類のテスト機器や測定器を展示した。

CMDA2000、EVDO、HSDPAやHSUPA、HSPA+などに比べて、LTEでは周波数帯域も広くなり新しくOFDMなどのプラットフォームも使用される。LTE端末の開発用テスタ「Agilent E6620A」の特長としては、この1台で、端末のRF(無線周波数)テストや簡単なアプリケーション試験、ハンドオーバー(切り替え)の試験などができることだ。さらに、プロトコル・テスト専門のテスト機器を作っている欧州のアナイト(Anite)社と協業し、アナイトのソリューションを組み合わせることで、「Agilent E6620A」にプロトコル・テスタ(シグナリング・テスタ)の機能をもたせることができる。これにより、「Agilent E6620A」は1台でRFのテストだけでなく、レイヤ3のプロトコル・テストが可能となる(写真7、8)。

写真7 アジレント・テクノロジーのLTE端末の開発用テスタ「Agilent E6620A」と
シグナリング・テスタ「Anite SAT LTE-Protocol development toolset」の図(クリックで拡大)
写真8 アジレント・テクノロジーのLTE端末の開発用テスタ「Agilent E6620A」(クリックで拡大)

WiMAX基地を敷設したあとのメンテナンスとして、電波がきちんと届いているかどうかをチェックする必要がある。アジレント・テクノロジーでは、実際にどのようにカバーできているかを測定するために、車に積み込んで電波を測定するドライブ・テスタや、現場で使う小型のスペアナなども、展示されていた。ドライブ・テスタはGPS機能を備えているため位置情報も記録できるので、あとで基地局側にプロットして、どの地域の電波が弱いとか、干渉の有無などを確認し、修正することができる(写真9)。

写真9 アジレント・テクノロジーのドライブ・テスタ(左手前)と小型スペアナ(右)。左奥のノートパソコンには、
ドライブ・テスタのGPSの地図が表示されている(クリックで拡大)

〔2〕WiMAXテスタ「R&S CMW270」と、LTEや802.11など多様なデジタル変調に対応したベクトル・シグナル・ジェネレータ「SMU 200A」:ローデ・シュワルツ・ジャパン

ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社は、WiMAXテスタ「R&S CMW270」と、LTEや802.11など多様なデジタル変調に対応したベクトル・シグナル・ジェネレータ「SMU 200A」などを中心とした計測器やテスタを展示した。

「R&S CMW270」は、WiMAXモジュールのテスト機器(写真10)。モバイルWiMAX(IEEE 802.16e-2005e)規格に対応し、WiMAXフォーラムのRFプロファイルに適合している。WiMAXモジュールをテストするための擬似基地局として信号生成を行う機能とともに、やり取りされたRF信号を解析する機能もあり、信号生成機能と信号解析機能を1台に収めた、業界初のシグナリング機能付WiMAX端末生産用ワンボックス・テスタである。

試験中に主な送信パラメータを変更し、実際の動作条件に合わせることができる。また、シグナリング・モードでの擬似基地局機能を動作させ、端末機の受信、送信伝播路間のクロストークの確認など、最終テストで重要となる複雑な誤動作の発見が可能となる。

外付けのWiMAXモジュールを開発するベンダだけでなく、PCにモジュールを組み込んで使うセット・メーカーもターゲットとしている。

写真10 ローデ・シュワルツ・ジャパンのWiMAXテスタ「R&S CMW270」。テストモジュールは富士通製(クリックで拡大)

また、ベクトル・シグナル・ジェネレータ「SMU 200A」(写真11上)は、デジタル変調の方式を再現することができる。主に、研究・開発の段階で使用する。ベースバンドには、WiMAXやLTEだけでなく、802.11n、TD-SCDMAなどのいろいろなデジタル変調の規格がプリセットしてあり、多様なデジタル変調の信号を幅広く作れる(写真12)ために、汎用性が高く、いろいろな用途に使用できる。テストするベースバンドの規格を選び、ノイズやフェージングを加えて、わざと遅延を持たせた信号を出すといったシミュレーションができる。

出てきた信号はスペアナである「FSQ 8」(写真11下)のほうで受けて、デジタル変調の信号の解析をする。スペアナもWiMAXの復調だけでなく、さまざまなデジタル変調の信号を復調することができるので、いろいろな組み合わせで使える。

新しい通信規格や部分的に変更された規格については、デジタルの変調帯域幅や周波数が大幅に変わらなければ、ソフトウェアの追加で対応できる。

オプションとして、2×2のMIMOの信号を出すことも可能。

写真11 ローデ・シュワルツ・ジャパンのベクトル・シグナル・ジェネレータ「SMU 200A」(上)、
シグナル・アナライザー「FSQ 8」(下)(クリックで拡大)
写真12 ローデ・シュワルツ・ジャパンのベクトル・シグナル・ジェネレータ「SMU 200A」でベースバンドを
変更しているところ。メニューでは、GSM、CDMA2000、TD-SCDMA、802.11abg、802.11n、IEEE 802.16 WiMAX、
GSPなどを確認できる(クリックで拡大)

〔3〕基地局開発用端末シミュレータ「TM500 LTE」とWiMAXプロトコル・テスト・システム「WiMAX PCT」:Aeroflex

エアロフレックス(Aeroflex:本社、米国)は、基地局開発用端末シミュレータ「TM500 LTE」とWiMAXプロトコル・テスト・システム「WiMAX PCT」を展示した。

「TM500 LTE」は、移動端末の基地局がきちんと動作するかどうかを試験する基地局の開発のための端末シミュレータ(写真13)。テキストベースで作ったスクリプトを、いろいろな環境で試すことができる。レイヤ1、2から3まで含めてパラメータを自由に変え、LTEだけでなく、HSPA+などさまざまな通信規格の端末のシミュレーションをすることができる。

写真13 エアロフレックスの基地局開発用端末シミュレータ「TM500 LTE」(クリックで拡大)

一方、「WiMAX PCT」は、プロトコルの開発者向けに、作成したプロトコルがきちんと動作するか、PCT(プロトコル・コンフォーマンス・テスト)を行うための製品(写真14)。WiMAXフォーラムから配布されている検証用のスクリプトを走らせ、決められた試験項目をパスするかどうかを調べる。WiMAXフォーラムの認証ラボのほうにも、同様の認証テストの機器があり、そこでの試験をパスすると、WiMAXフォーラムの認定を受けることができる。当製品を使うことで、事前に製品のプロトコルを検証し、間違いなく動くまで完成度を高めてから、本番の試験に臨むことができる。

WiMAXフォーラムに認定されているPCT製品はまだ3種類しかなく、当製品はそのうちの1つである。

WiMAXフォーラムの検証用スクリプトは、パッケージという形で購入し、新しいものがあれば、アップデートされる。スクリプトを少し変えて、通常とは違う動作をさせるという環境も作ることができる。TTCN-3(※)に対応している。

TTCN-3:Testing and Test Control Notation Version 3。通信プロトコルやWebサービスのテストに特化したプログラミング言語「TTCN」のバージョン3。ETSI(欧州電気通信標準協会)とITU(国際電気通信連合)によって開発が進められている

写真14 エアロフレックスのWiMAXプロトコル・テスト・システム「WiMAX PCT」(クリックで拡大)

〔4〕MIMOフェージング・シミュレータ:光電製作所

WiMAX、802.11nなど高速無線通信を行う際にカギとなり注目されているMIMOは、今回のWTP2008でも関連製品が複数展示されていた。その中で、株式会社光電製作所のMIMOフェージング・シミュレータ「E-1100B」は、IEEE802.11nやWiMAX向けのMIMO通信システムの開発用シミュレータ(写真15)。MIMO信号に擬似的にフェージングを加えて、シミュレートできる。

写真15 光電製作所のMIMOフェージング・シミュレータ「E-1100B」(クリックで拡大)

〔5〕3Gネットワーク向け過負荷試験装置:コムワース

株式会社コムワースは、携帯電話の基地局開発向けの過負荷シミュレータ「SOLVER FOR 3G GEMINI SERVER」を展示(写真16)。「SOLVER FOR 3G GEMINI SERVER」は、UMTS(※)の無線アクセス・ネットワーク(W-CDMA)をシミュレートし、3Gモバイルのコア・ネットワークに対し、さまざまな属性を持たせた呼(シグナリング)をシミュレートする。また端末から基地局への高負荷アクセス状況をシミュレートできる。LTEや4Gへも対応予定。

UMTS:Universal Mobile Telecommunications System。3GPPで標準化された第3世代(3G)移動通信システム。無線アクセス技術にW-CDMAを使用

写真16 コムワースの携帯電話の基地局開発向けの過負荷シミュレータ「SOLVER FOR 3G GEMINI SERVER」
(クリックで拡大)
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