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NEC、大量・多様なIoTデバイスを低負荷でモバイルネットワークに接続できる通信技術を開発

2015/04/07
(火)
SmartGridニューズレター編集部

2015年4月7日、日本電気株式会社(以下:NEC、東京都港区、執行役員社長:遠藤 信博)は、IoT(Internet of Things※1)で利用する大量かつ多様なセンサーや機器(以下:IoTデバイス)をモバイルネットワークで利用する際、IoTデバイスの特性や状況にあわせて制御信号を削減し、ネットワーク負荷を低減する通信技術を世界で初めて開発したことを発表した。

同技術は、IoTデバイスの通信や移動の管理のために、従来一律に行っていた通信事業者のネットワークとIoTデバイスの間の制御信号の送受信を、IoTデバイスの通信間隔や移動速度などにあわせて行う。これにより、制御信号数を従来比 約1/10※2に削減し、IoTデバイスを効率よく接続することで、ネットワークの負荷を抑えて信頼性の高いモバイルネットワークを実現する。

また、同技術はモバイルネットワークの標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)※3の国際標準規格に採用されている。

同技術開発の背景と特徴は次のとおり。

背景

現在のモバイルネットワークは、人が携帯端末を保有して移動する音声・データ通信を前提として、端末の通信接続状態や位置を管理するための制御信号を、通信事業者のネットワークと携帯端末との間で頻繁にやりとりを行っている。
このため、通信の開始・停止を定期的に繰り返すスマートメーターや、ネットワークのエリア間を継続的に高速移動する自動車など、人と異なる特有の動きをするIoTデバイスでは、モバイルネットワークで不要な制御信号が大量に発生してしまっている。さらに、IoTデバイスの増加に伴ってネットワークの負荷が増大することで、モバイルネットワークの信頼性低下が懸念されている。

今回開発した通信技術は、通信事業者のネットワークとIoTデバイスの間の制御信号を最適に制御し、今後爆発的に増加していくさまざまなIoTデバイスをモバイルネットワークの負荷を抑えて接続できるものとなっている。

 

新技術の特長など

  1. 世界初IoTデバイスの通信・移動の特性・状況に応じて制御信号を削減
    IoTデバイスの通信頻度や移動の有無、速度などに応じて、モバイルネットワークにおけるIoTデバイスの発着信時の不要な制御信号を削減する手法を世界で初めて開発。本手法では、それぞれのIoTデバイスの通信や移動の特性を把握してIoTデバイスの通信接続状態や位置に応じた制御を実施。シミュレーションでの評価により、IoTデバイスに関わる制御信号数が従来の約1/10に削減できることを実証。
     
  2. モバイルネットワークの国際標準規格に採用
    モバイルネットワークの標準化団体3GPPにおいて、最新規格4G LTE-Advancedの拡張機能を規定する「3GPPリリース12」の標準規格に採用。4G LTE-AdvancedにおけるIoTの普及に向けて、モバイルネットワーク技術の国際標準化に貢献。

 


※1:さまざまなモノに無線タグやセンサーを搭載して、あらゆるモノや人、情報をネットワーク経由で相互に接続すること

※2:従来技術による制御信号数との比較(NEC評価)

※3:第3世代(3G)をはじめ、携帯端末等の通信規格の標準化を行うプロジェクト

■リンク
NEC

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