去る2015年3月18日、本誌主催の‘創刊2周年記念セミナー’が開催された(写真)。テーマは、「電力自由化でビジネスはどう変わるか ~スマートグリッド、スマートハウス、M2M/IoT環境が起こすパラダイムシフト~」。
来場者数は183名、最終のパネルディスカッション終了時間まで、ほぼ満席の状況であった。電力の自由化により、電力事業者以外でも新サービスとともに参入できることへの期待と関心の高さがうかがえた。同セミナーをダイジェストする。
▼写真 セミナー会場の様子
〔1〕普及のカギは新サービスの創出
基調講演には、「スマートハウスにおけるHEMS新サービス創出のための取組」と題して古市 悠 氏(経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 係長)が登壇した。
古市氏は、スマートハウスやそのキーコンポーネントであるHEMS注1普及のカギは、エネルギー管理に留まらない新サービスの創出とし、その実現のための課題と対応について述べた。
〔2〕各社のソリューションと取り組み
アルカテル・ルーセントは、「加速するスマートグリッドへの動き:北米の電力ネットワークの変革」として、同社 北米電力案件 統括責任者 マーク・マッデン(Mark Madden)氏が講演した。スマートグリッドの実現に向けたアプリケーションの導入が加速するにつれ、信頼性や安全性への要求が高まる一方で、従来のレガシー(アナログ)系の通信テクノロジーは終焉を迎えつつあり、IPベースのネットワーク(IP/MPLS)の時代が到来していると、北米の事例とともに述べた。
また、シュナイダーエレクトリック エナジーソリューション事業開発室ディレクター 梅村 周市 氏は、「スマートな社会を実現目指するエネルギーマネージメントのイノベーション」の中で、同社のスマートシティソリューションへの取り組みや、DR注2事業の具体的展開について述べた。さらにスマートシティによるエネルギーインフラ整備を実践している、米国ボストン市の取り組みを紹介した。
スマートハウスに関連しては、ユビキタスとHD-PLCアライアンスが講演を行った。
ユビキタス 取締役 研究開発本部長 間中 信一 氏は、同社のHEMSをはじめとしたエネルギーマネジメントシステムと、IoTソリューションを紹介した。また、HD-PLCアライアンス 会長 荒巻 道昌 氏は、国際標準規格IEEE 1901や、Echonet Liteの通信規格TTC JJ-300.20&21などの認定を受けている、高速電力通信技術「HD-PLC」規格の活用事例と普及状況を述べた。
重要なセキュリティについては、サイバーディフェンス研究所 理事/上級分析官 名和 利男 氏が、深刻さが高まり、影響を受ける領域の拡大が目立ってきているサイバー攻撃によるリスクについて、事例を挙げながら今後のあるべき姿について述べた。
最後のパネルディスカッション(モデレータ:東京大学 大学院 情報理工学系研究科 江﨑 浩 教授)では、「電力自由化でビジネスはどう変わるか」について、活発な討論が行われた(詳細は、2015年7月号で掲載予定)。
▼ 注1
Home Energy Manage-ment System
▼ 注2
DR:デマンドレスポンス、電力の需給調整。
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