[特集]

日本版次世代工場「Industry 4.1J」の実証実験開始へ ≪後編≫ ― 国際標準「OPC UA」とプライベートクラウドで、2017年3月に実用化へ ―

2015/08/01
(土)
SmartGridニューズレター編集部

セキュアな次世代工場は2017年3月から実用化へ

 これまでのIoT(Internet of Things)は、パブリッククラウドを前提に、主にB to Cのビジネス領域やM2Mソリューションなどが考えられてきたが、2010年に「制御システム」をターゲットにしたサイバー攻撃(例:Stuxnetを使用)の脅威が登場してきたが、制御システム環境においては、このようなサイバー攻撃からシステムを防御するため、インターネット接続ケーブルを外して対応するしかない現状であった。

 ところが、Bizホスティング Enterprise Cloudのようなセキュアに強いプライベートクラウドが国際的に利用できる環境が整ってきた。

 これによって、例えば世界中の工場や施設をセキュアなプライベートクラウドで接続できるようになると、それぞれの製造現場の課題がリアルタイムに見えるようになる。さらに、AMTSS(Asset Mana-gement Technology Support System、設備の保全管理技術を支援するシステム)が実現され、現場のノウハウを活かした、TBM(時間保全管理)注25とCBM(状態保全管理)注26を組み合わせて、アセットマネージメント(設備等の資産管理)をセキュアに実現できるようになる。

 このようになると、例えば部品や装置を生産している製造業では、国際的に精度の高い生産計画や平準化が可能となり、これによって、雇用の安定にもつながるなどのメリットも生じてくる。また、海外の生産システムをリモート(日本国内)から監視し、その現場の具体策の対応も可能となる。Industry 4.1Jプロジェクトはこのような内容も含めて、実践的的な実証試験が行われている。

 日本版Industrie 4.0でもある「Industriy 4.1J」は、2016年3月まで、通信接続・個別性能実験および相互接続性能実験が行われ、ユーザー個別の実証実験を経て最終的には、2017年3月を目指して実用化されるロードマップである。

 「Industriy 4.1J」が、製造業におけるセキュアなIoT、すなわち「IIoT」(Industrial IoT)として、モノづくり日本から世界に発信する、次世代工場(フューチャファクトリー)実現のモデルとして、そのリーダーシップが発揮されることを期待したい。

◎取材協力(敬称略)

村上 正志(むらかみ まさし)

村上 正志(むらかみ まさし)

VEC(Virtual Engineering Community)事務局長

1977〜1991年 日本ベーレー株式会社 システムエンジニア
1991〜1995年 画像処理VMEボードメーカーに従事
1995〜2015年3月 株式会社デジタル(2002年以降 Schneider Electric Group)
1999年6月〜 Virtual Engineering Community事務局長 兼 ソリューションアドバイザー、
現在に至る
2015年5月〜 株式会社ICS研究所 代表取締役社長 兼 所長

境野 哲(さかいの あきら)

境野 哲(さかいの あきら)

NTTコミュニケーションズ株式会社 技術開発部 IoTクラウド戦略ユニット担当課長(ユニットリーダ―)

1990年 日本電信電話株式会社に入社、社内基幹業務システムの開発を担当
1995年 さいたま新都心開発プロジェクト等を担当
2000年 新規ビジネスインキュベーション等を担当
2004年 パートナー営業/協業ビジネス開発等を担当
2010年 コンテンツ流通ビジネス開発、エネルギー管理/M2Mの技術開発を担当
2015年 IoT・ビックデータ関連サービスの技術開発ユニットリーダーに就任

堀越 崇(ほりこし たかし)

堀越 崇(ほりこし たかし)

NTTコミュニケーションズ株式会社 技術開発部 IoTクラウド戦略ユニット

1999年 日本電信電話株式会社に入社、NTTサイバーソリューション研究所にてIPテレビ放送技術の研究に従事
2003年 株式会社ぷららネットワークス(現 株式会社NTTぷらら) サービス企画部。IPテレビサービス「ひかりTV」システムの設計・開発に携わる
2008年にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社 コマース事業部、2010年にサーチ事業部を経て、2011年より現職。クラウド技術を応用した新しいIoTソリューションモデルの実現に取り組んでいる


▼ 注25
TBM:Time Based Main-tenance、時間基準保全。故障の発生が予測される時期に機器を交換する設備保全手法。

▼ 注26
CBM:Condition Based Maintenance、状態基準保全。定期検査の結果やモニタリング(常時監視)の結果に基づいて、機器を交換する設備保全手法。

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