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NEDO、NTTファシリティーズ、米国データセンターでのHVDC給電システムの省エネ実証事業を開始

2015/08/12
(水)
SmartGridニューズレター編集部

2015年8月12日、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術開発機構(以下:NEDO、理事長:古川一夫)は、株式会社NTTファシリティーズ(以下:NTTファシリティーズ、東京都港区、代表取締役社長:筒井清志)に委託し、データセンターの省エネ化を実現するため、米国テキサス大学オースチン校の先端コンピュータセンターに高電圧直流(HVDC)給電システム※1を構築し、省エネ実証事業を開始することを発表した。

ICTの普及拡大によりデータセンターの役割はますます増大しており、それに伴う消費電力量も急増し、データセンターの省エネ化は世界的に重要な課題となっている。NTTグループにおける開発や、NEDO「グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト」を通して、国内で商用化、導入を推進してきたHVDC給電システムは、交流給電システムと比較して電力変換段数が少ないことによる省エネ効果と、ICT機器と蓄電池が直接接続されていることによる高い給電信頼性の観点から(図1参照)、データセンターの大規模化に対応可能な給電システムとして、大きな期待が寄せられており、米国をはじめとした海外でも普及が期待される。

◆実証概要
米国テキサス大学オースチン校の先端コンピュータセンターに、図2に示す実証システムを構築し、以下の内容を実施する。

  • 実証システムの効率性を、DPPE法※2により評価し、交流給電システムと比較することで、HVDC給電システムの優位性を定量的に示す。
     
  • 太陽光発電システムとHVDC給電システムを連系接続させ、太陽光発電の発電電力に応じてHVDC整流装置の運転台数を制御することで、環境負荷低減とシステム効率向上を実現する。
     
  • 高電圧直流で動作する空調設備や照明設備を開発・導入することで省エネ効果をさらに向上させる。


※1 高電圧直流(HVDC)給電システム:
電力会社からの電力供給からICT機器への給電過程のなかで、交流-直流、直流-直流の電力変換段数を減らすことで、データセンター全体の電源変換効率を向上させる給電システム。電源装置からICT機器への供給は直流380Vで供給される。

※2 DPPE(Data center Performance Per Energy):
グリーンIT推進協議会が推進しているデータセンター全体のエネルギー効率を表す新しい指標。DPPEを用いることで、ICT機器も含めたデータセンター全体の効率性を客観的に評価することができる。

■リンク
NEDO
NTTファシリティーズ

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