スマートメーター関連企業とM&Aの実績
スマートメーター関連企業は国内外にさまざまな企業がある。
世界的に知られている企業としては、米国に本社を置くItron(アイトロン)、GE、そしてSensus(センサス)などのほか、ドイツで設立されたElster(エルスター)や、スイスに本社を置くLandis+Gyr(ランディスギア)などがある。
日本国内では、大崎電気工業、東光東芝メーターシステムズ、GE富士電機メーター、そして三菱電機といったいわゆる4大メーターのほか、日本全国の経済産業局ごとに1社から数社の届出製造事業者注4や届出修理事業者注5が存在している。
そのようななか、世界を見ると表1のようにスマートメーター関連のM&A(Mergers and acquisitions、企業の合併と買収)が盛んに行われている。
2011年から2012年6月までの1年半に世界中で行われたM&Aのうち、もっとも規模が大きかったのが東芝によるスイスのスマートメーターメーカーであるLandis+GyrのM&Aである。東芝は、2011年5月19日にLandis+Gyrの株式取得に関するプレスリリースを発表し、2011年7月29日には株式取得完了を発表している。
2011年5月19日のプレスリリースでは、買収額は23億ドル、日本円で1863億円だと発表している。この金額は、2011年に行われたスマートグリッド関連のM&Aで最高額である。同規模のM&A案件としては、ドイツのスマートメーターメーカーであるElsterが、2012年6月にイギリスの買収ファンドであるMelrose(メルローズ)に買収されたものがある。
東芝に買収されたLandis+Gyrは、2012年1月に米国のMDM(Meter Data Management、メーターデータ管理)関連ソフトウェアを提供しているEcologic Analytics(エコロジック・アナリティクス)を買収している。また2012年5月には、Itronがスマートグリッド向けの通信として携帯電話網を利用するソリューションを提供していたSmartSync(スマートシンク)を買収している。
Landis+GyrのMDM関連企業買収やItronの通信関連企業買収から指摘できる点は、スマートメーターメーカーが垂直統合化を進めているということである。Landis+Gyrは1896年に、Itronは1872年にそれぞれの元となる企業が創業されている歴史あるメーターメーカーである。元々、メーターのみを製造していた企業が、スマートグリッドビジネスの盛り上がりに伴い、自社で扱う製品やソリューションをメーターだけではなく、AMIに必要な通信やMDMにまで広げているのである。
ここで紹介したLandis+GyrやItronをはじめとして、今後のスマートメーターメーカーの展開を注視していく必要がある。
▼ 注4
例として東北計器工業、中部精機、エネゲートなどがある。
▼ 注5
昭和計器工業、東京計器工業、高林電機などがある。
◆表1出所
各種資料を基に著者作成